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<みやぎ日本酒事情>持ち回り 新銘柄仕込む

伊藤さん(左)からリーダー蔵を引き継いだ新沢さん=9日、宮城県川崎町の新沢醸造店川崎蔵

 蔵元、飲食店、愛好家がそれぞれに手を結んで日本酒を盛り上げる動きが宮城県内で活発化している。酒を醸し、提供し、楽しむ。異なる立場で日本酒の多彩な魅力や味わい方を伝える。開放的な取り組みは多くの人を巻き込み、若者を中心にファンの裾野を広げている。(夕刊編集部・菊地弘志)

◎醸す結ぶ(上)融合する技 蔵元

<失敗を恐れずに>
 「伯楽星」で知られる新沢醸造店(宮城県大崎市)の川崎蔵(宮城県川崎町)で、2年目の新銘柄「DATE SEVEN(伊達セブン)」の酒造りが始まった。
 県内七つの蔵元が毎年共同で造る酒だ。持ち回りでリーダー蔵を務め、麹(こうじ)造り、酒母造り、もろみ管理、搾りなども分業する。
 デビューした昨年のリーダー蔵は、山和酒造店(宮城県加美町)だった。県産の酒造好適米「蔵の華」を使って出来上がった純米大吟醸酒を、セブンの名にちなんで7月7日に発売。一升瓶2000本、四合瓶4000本はたちまち完売した。
 山和酒造店の伊藤大祐専務(36)からバトンを受け取った新沢醸造店の新沢巌夫社長(40)は、笑みを浮かべた。「失敗を恐れずに挑戦できるのが伊達セブンの良さ。予想を裏切る酒にしたい」
 2年目のセブンは7月9、10の両日、仙台市内でお披露目される。
 老舗の酒蔵は門外不出の技を伝承し、手の内を明かすことなどこれまではあり得なかった。世代交代で向上心と遊び心を持つ蔵元や後継者が現れ、画期的な試みが実現した。

<秋田の酒に刺激>
 きっかけは2014年秋の懇親会。居合わせた7蔵が意気投合した。秋田県の5蔵が手を組む「NEXT5(ネクスト・ファイブ)」の酒造りに刺激を受けた。
 宮城の酒は、純米酒や本醸造酒など高級酒を示す特定名称酒が9割近くで、全国トップクラス。品評会で高い評価を受ける銘柄も多い。「なのに、どうも目立たない」と伊藤さん。
 もどかしさが背中を押した。昨年1月、蔵元集団「伊達セブン」を旗揚げし、ネクスト・ファイブに挑戦状を手渡した。
 メンバーは他に仙台伊沢家勝山酒造(仙台市)、墨廼江酒造(宮城県石巻市)、寒梅酒造(宮城県大崎市)、萩野酒造(宮城県栗原市)、川敬商店(宮城県美里町)。
 「どの蔵も容易にまねできない個性を確立しているからこそ信頼できる」と新沢さん。伊藤さんは「技術交流で得られた発見を各蔵が応用していけば、宮城全体のレベルアップに結び付く」と先を見据える。


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2016年03月16日水曜日

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