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<三陸沿岸道>知名度持続 相乗を狙う

再建された地下水族科学館「もぐらんぴあ」

 岩手沿岸北部の玄関口・久慈市。北へ延びる三陸沿岸道路の整備を見据え、県境を越えた交流拡大や水産物流の強化を模索する。(盛岡総局・山形聡子)

◎岩手復興 大動脈北へ(7)「あまロス」後

<観光拠点が復活>
 津波で全壊した北三陸の観光拠点が、5年ぶりに復活する。
 久慈市の市営地下水族科学館「もぐらんぴあ」。東日本大震災で被災し、約3000匹いた魚はほぼ死滅した。津波対策を講じ、被災前と同じ場所に再建。営業再開は4月23日だ。
 「観光復興のシンボルにしなければならない。県内外から多くの人に訪れてもらうよう発信を強めたい」。市観光交流課の中野創一郎主任は期待を込める。
 国内初の地下水族館として1994年にオープン。再建には国の補助金や復興交付金など約14億円を活用した。2階建てだった管理棟を5階建てに拡張。3階には防災学習展示室を設け、震災の記憶を伝える。
 隣接する久慈国家石油備蓄基地の建設時に掘ったトンネルを生かしたアーチ状の遊歩トンネル水槽も改修した。被災生物の中で奇跡的に生き残った人気者のアオウミガメ「カメ吉」も21日、避難先の青森県八戸市から帰ってくる。
 開館から震災前までの来場者は計約130万人。多くは久慈市周辺の沿岸北部や、県境を挟んで隣接する人口30万の八戸都市圏からの客だ。
 久慈−八戸間は現在、車で1時間10分程度。三陸沿岸道路が開通すると、約40分に短縮される。中野主査は「八戸圏が誘客の主なターゲットであることに変わりはない。アクセス向上は大きなメリットだ」と開通効果を見込む。

<年間10万人維持>
 3年前、人口3万5000の港町は沸きに沸いた。訪れた観光客は約113万人。2009年度の約85万人の1.3倍に増えた。
 同市がロケ地となったNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の放映効果だ。岩手銀行系のシンクタンク岩手経済研究所は、13年度だけで約32億円の経済効果があったと試算した。
 「道の駅くじ」の駅長を務める市観光物産協会の舘博実事務局長は「札幌や九州、関西ナンバーの車を多く見た。観光客だけでなく帰省客も増えた。人も車もあふれていた」と振り返る。
 ドラマ終了後の14年度の観光客は約88万人で震災前水準に落ち着いたものの、ロケ地となった小袖海岸の海女センターの来場者は年間10万人程度を維持する。
 観光関係者はドラマで発信できた久慈の知名度を持続させ、道路網整備の効果につなげる「あまロス」後の戦略を練る。
 26日にはJR八戸駅を通る北海道新幹線が開業。18年6月には宮古港(岩手県宮古市)と室蘭港(北海道室蘭市)を結ぶ県内初のカーフェリーが就航する。
 舘事務局長は「外国人観光客や修学旅行の周遊コースに久慈を組み込めるようになる。ドラマで久慈を知った人をリピーターとして確保したい」と展望する。


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2016年03月16日水曜日


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