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社長高齢化に対応 事業承継へ東北の企業着々

企業関係者が事業承継への理解を深めた商工中金主催のセミナー=昨年11月、仙台市若林区

 東北の高齢経営者を中心に、事業承継の動きが出ている。全国平均以上に高齢化が進む東北で事業承継は喫緊の課題で、金融機関などもサポートに力を入れる。関係者は「早めに動けば取れる対策は多いが、問題を放置すると廃業にもつながる」と警鐘を鳴らす。(報道部・小木曽崇)

<特需で株価上昇>
 仙台市青葉区で建設関連会社を営む40代社長は、19歳の長男がオーナーを務める持ち株会社に事業会社の株式譲渡を進める。
 早期の事業承継を薦めたのは商工中金仙台支店。事業会社の株価は東日本大震災の復興特需で5倍に跳ね上がった。さらに上昇すれば贈与税や相続税の支払いが困難になるためだ。
 同支店は昨年11月、持ち株会社に株式取得資金約2億円を融資。特殊な信託契約を結び、株式を譲渡しても30年間は議決権が社長に残るようにした。社長は「70代まで働けば一区切り。株価が上がる前に対策を取れた」と語る。
 帝国データバンクの「2016年全国社長分析」によると、東北各県の社長の平均年齢は表の通り。全国最高齢の岩手を筆頭に、いずれも全国平均を上回る。一方、帝国データバンクがことし、東北の1万7737社に行った別の調査では、64%が「後継者が不在」と回答した。

<銀行も対策強化>
 事業承継がうまくいかなかった場合、大きな経営リスクとなりかねないのが株価だ。国は継承時の相続税・贈与税の納税猶予・免除制度の対象を拡大したり、要件を緩和するなど、スムーズに継承できるように環境を整えてきた。
 東北経済産業局によると、認定を受けた贈与は14年の4件に対して15年は15件(4日現在)に増加。東北経産局は「制度改正の効果が出てきた」とみる。
 地元の金融機関も対策を強化。七十七銀行は14年に本部の事業承継担当者を1人から3人に増員。必要に応じて提携する税理士と顧客を訪問する。営業店でも対応できるよう、会社の株価を簡単に計算できる簡易計算ツールを作製した。
 同行の自社株評価を通じた事業承継の提案件数は、14年度は前年度比2.2倍の355件で、15年度も微増傾向で推移する。同行は「後継者へのバトンタッチだけでなく、企業業績を右肩上がりとするための提案をしたい」と説明する。
 企業の相談対応や、後継者難の会社と事業拡大を目指す会社のマッチングも手掛ける宮城県事業引継ぎ支援センターは「相談件数は伸びているが潜在需要はもっとある。秘密厳守で、弁護士や公認会計士が無料相談に応じるので活用してほしい」と呼び掛ける。

[事業承継時の相続税・贈与税の納税猶予・免除制度] 要件を満たした後継者が相続により中小企業の株式を取得した場合は相続税の80%、贈与で取得した場合は贈与税の全額が猶予される。2009年に運用が始まった。15年1月の要件緩和で、親族に限られていた後継者は親族外にも拡大。現経営者は代表権を返上すれば、贈与後も有給役員として会社に残れるようになった。後継者が株式を継続保有し続けた上で死亡した場合や3代目の後継者に贈与した場合、納税猶予額は免除される。


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2016年03月16日水曜日


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