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<三陸沿岸道>誘客促進へ発信力強化

三陸の海を望む高台で建設が進むワイナリー。試飲コーナーや販売所も設ける=岩手県野田村玉川

◎岩手復興 大動脈北へ(8)「通過点」回避

<大規模な道の駅>
 大動脈が貫くことになる岩手県久慈市圏域の観光関係者に、一つの不安が広まりつつある。
 「三陸沿岸道路がつながれば、移動時間が短くなる。地域一帯が丸ごと、単なる通過点になりはしないか」
 例えば、岩手県宮古市から青森県八戸市への移動時間は現在、久慈市を通って3時間弱。これが沿岸道路開通によって、1時間40分程度と大幅に短縮される。
 アクセスが格段に向上する分だけ、道路利用客が久慈に寄らないまま素通りしてしまうのではないかという懸念だ。
 「通過点」を回避しようと、久慈市と周辺の洋野町、野田村、普代村は誘客促進で連携する態勢を打ち出した。軸となるのは、三陸沿岸道路沿線での大規模な道の駅の新設だ。国の補助金を活用して建設場所や運営形態、経済効果を調査している。年度内には整備の方向性を示す。
 久慈市政策推進課の重浩一郎課長は「三陸沿岸道路を降りて道の駅に寄ってもらい、観光地や中心市街地に人を環流させる仕組みが必要。沿岸自治体が一丸となって情報を発信したい」と青写真を描く。
 道路開通を見越し、沿線では地場産品を前面に出した誘客プランも動きだした。

<特産ワイン醸造>
 久慈市の南隣にある野田村。沿岸道路建設地近くの高台でワイナリーの整備が進む。村が出資する第三セクターが運営し、特産のヤマブドウを使ったワインを醸造する。
 「ワインのほかにも地元物産の販売やイベントを開くなどアイデアを練りたい。せっかくの沿岸道路。とにかく多くの県内外の人に来てほしい」。醸造責任者で国民宿舎えぼし荘支配人の坂下誠さん(45)は意気込みを語る。
 岩手はヤマブドウの生産量が日本一。野田村では約11ヘクタールで栽培され県内2位の生産量だが、生産農家は減りつつある。付加価値を高めた新たな産品として、2012年にワイン造りを始めた。
 これまでは内陸の葛巻町のワイナリーに醸造を委託してきたが、本年産から自社醸造に切り替える。坂下さんは「沿岸道路のメリットを取り込むためにも、情報発信の核となる施設や工夫が必要だ」と強調する。
 三陸沿岸では震災後、復興支援として環境省が整備を進める自然歩道「みちのく潮風トレイル」や自然公園「三陸ジオパーク」など広域の観光資源が注目されつつある。沿岸道路を生かし、人を呼び込む攻めの戦略が一段と求められる。
 岩手大農学部の広田純一教授(地域計画・農村計画)は「行政と民間が協力して観光地や地元食材といった情報発信を強め、観光客に立ち寄ってもらうきっかけをつくることが重要だ」と提言する。


関連ページ: 岩手 社会

2016年03月17日木曜日


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