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三四郎広田先生モデル 粟野健次郎の伝記完成

粟野の伝記本の最終稿を持つ顕彰会の伊藤会長
粟野健次郎(東北大史料館所蔵)

 夏目漱石の小説「三四郎」に登場する広田先生のモデルといわれる岩手県一関市出身の旧制二高(現東北大)教授粟野健次郎(1864〜1936年)の顕彰会(一関市)は、粟野の伝記を完成させた。博識ぶりから「二高の至宝」と称された粟野だが、不明なことも多かった。「多くの人に偉大な人物を知ってほしい」と、一冊で人となりが分かる本に仕上げた。
 書名は「観音になった男〜知られざる偉人・粟野健次郎」で、B5判、206ページ。顕彰会は市の補助金も得て2013年から3年間、東北大や親族らへの聞き取り、直筆手紙の収集、二高同窓会報の分析などをし、成果を反映させた。
 一関時代からたどり、二高教授を務め40年以上教壇に立った仙台時代は、同窓会報の記録を基に同僚や教え子の証言を時系列、内容別に分類して再構成し、人物像を浮かび上がらせた。
 当時の英語の第一人者としてだけでなく「超人的な博学と機知」「酒をこよなく愛す」「学生、同僚へも愛情を注ぐ」といった項を立て、粟野の人間味あふれる姿を生き生きと描いた。
 東北大農学部の敷地には粟野を慕った教え子が建立した「粟野観音像」が残っている。伝記のタイトルはそこから取り、表紙も観音の写真を使った。資料として同窓会報や粟野が発した警句集を掲載した。
 顕彰会の伊藤久雄会長は「知れば知るほど魅力を感じるのが粟野のすごさ。純粋に知を愛し日本を代表する学者でありながら、地位も名誉も求めない真の教育者だった」と話す。
 伝記は1300部発行し、一関市と平泉町の全小中高校に配布。20日午後1時半、同市大手町の一関文化センターで出版記念「公開市民講座」を開く。入場無料。伝記や講座に関する連絡先は顕彰会事務局・佐々木さん0191(26)1396。


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2016年03月18日金曜日


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