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<震災5年>津波訴訟 和解は6件1遺族

 東日本大震災の津波犠牲者の遺族らが地方自治体や企業などに損害賠償を求めた訴訟は、震災発生から5年間で少なくとも東北で15件提起された。これまで和解が成立したのは6件と、「山元・東保育所訴訟」の1遺族。同訴訟の1遺族と、ほかの1件が最高裁で敗訴が確定した。15件中8件が終結したが、今も半数近い7件が未確定だ。
 主な津波訴訟は表の通り。賠償命令は2件にとどまる。教習生ら26人の遺族に対し、仙台地裁が学校側に約19億1300万円の支払いを命じた「山元自動車学校訴訟」は仙台高裁が和解を勧告。送迎バスで亡くなった園児4人の遺族に対し、同地裁が園側に約1億7700万円の賠償を命じた「石巻・日和幼稚園訴訟」は、園側が6000万円を支払うことなどで仙台高裁で和解が成立した。
 2015年度中に和解が成立したのは「山元・ふじ幼稚園訴訟」「石巻・ボート転覆訴訟」の2件。同年度中、裁判所が和解を勧告したのは「山元自動車学校訴訟」「新岩手農協津波訴訟(不成立)」(いずれも仙台高裁)、「東松島・野蒜小訴訟(不成立)」(仙台地裁)の3件だった。
 和解は判決と異なり、事実認定を行わない。一方、謝罪や再発防止策、慰霊碑の建立など遺族側が求める条件を盛り込める利点や、訴訟の長期化を避けられる側面もある。遺族側が「金銭より、肉親の死への誠実な対応」を求め、和解に応じるケースも少なくない。
 和解が増えた背景には、津波訴訟の争点が「大津波の襲来を予測できたかどうか」という予見可能性の有無に絞られている現状がある。「震災直後、何があったのか知りたい」。遺族の強い思いが訴訟の提起につながっているが、賠償責任の前提となる津波の予見可能性についての判断が優先され、「真実を知りたい」という願いは十分かなえられていないのが実情だ。
 残る訴訟は7件。そのうち「石巻市大川小訴訟」「名取・閖上訴訟」「釜石・鵜住居防災センター訴訟」の3件は現在も事実関係の審理が続いている。1件は上告中、1件は仙台高裁が和解を勧告、2件は結審し、近く判決が出る。


2016年03月19日土曜日


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