福島のニュース

<震災5年>節目の日 古里に別れ

追悼式の後、岬の高台から町を望む阿野田さん

 3月11日、福島県楢葉町の追悼式に参列した阿野田登美夫さん(66)は「一つの区切り、けじめかな」と語った。式の前、住民票を楢葉からいわき市に移した。「精神的に新たな自立というか。きょうから、いわき市民として前に進むよ」
 津波が自宅を襲い、母を失った。原発事故。遺体を隣家の納屋に安置し避難した。数日後、納棺に戻ったものの、放射能の影響で運び出せない。「顔もよく拭いてあげられなかった」
 自宅は災害危険区域になった。2013年秋、避難先のいわきに家を建て、仮設住宅を出た。原発事故で町に出ていた避難指示が解除された昨年9月5日、「住民票を移そうかと思ったが、踏み切れなかった」
 楢葉の家はもともと別の場所にあった。そこには今、福島第2原発が立つ。いわき市に転入届を出したとき「母や昔のことを思い出した。寂しく、悔しかった」。本籍は楢葉に残した。
 3月11日、メモを取りながら、被災地の今をあらためて胸に刻んだ。
(いわき支局・古田耕一)


2016年03月20日日曜日


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