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<この人このまち>庄内の魚介 築地で勝負

伊関領平さん

 水揚げの少なさから注目されてこなかった山形県産魚介類を、鶴岡市の定置網漁師らが徹底した鮮度管理を武器に、東京・築地市場に売り込んでいる。有限会社「仁三郎」の役員で漁師伊関領平さん(32)は、庄内浜ブランドの確立に挑む。(酒田支局・亀山貴裕)

◎漁師・伊関 領平さん(32)

 −築地市場での評判はどうですか。
 「漁場としての豊かさでは、西日本や太平洋側にかないません。魚が傷まない扱いと、生け締めやシャーベット氷による鮮度保持で勝負しています。うろこがはがれないように、ウレタンマットに包んで届けることもあります」
 「ここ数年で、一流と呼ばれる料理店や鮮魚店で扱われるなど評価の高まりを実感できるようになりました。取引の多いアジやサクラマスだと、地元での売値の2倍前後の単価が付くようになってきています」
 −庄内浜の認知度は。
 「築地では秋田から新潟にかけての日本海側のイメージは低いのが現状です。2006年に初めて仲卸業者と直接取引したアジの評価は最悪でした。サクラマスの取引を持ち掛けると、当初は地場価格の半値でしか売れない、と厳しい指摘を受けたこともあります」
 「直接取引をきっかけに技術指導を受け、丁寧な扱い方をたたき込まれました。手間が掛かる一方、すぐには売値が上がらず、年配の漁船員に考えを理解してもらうのには苦労しました」
 −「仁三郎」の事業内容を教えてください。
 「伯父が約30年前に興した会社で、20人前後が漁船に乗っています。伯父と父が近くの浜で3カ統ずつ定置網漁を営み、本年度の水揚げは2億円を超えました。旅館も経営し、女性陣が仕切っています。定置網で水揚げした魚介で宿泊客をもてなし、伯父方の船で観光漁業体験もできます」
 −タラやサワラ、岩ガキ、甘エビなど庄内浜は「多品種」でも知られます。
 「県内漁業は機械化や流通面で立ち遅れ、同じ山形なのに内陸部でのシェアは1割程度しかありません。築地で庄内浜ブランドを確立できれば、内陸部の人も放っておけないはずです」
 「もともと庄内浜に揚がる魚は身が引き締まり、適度に脂が乗っています。扱いや加工に創意工夫を図っていければ、他産地に決して劣らない商品となり得ます。温暖化の影響かイシダイなど魚種も増えており、山形の漁業にも必ず活路が開けると信じています」

[いせき・りょうへい]83年鶴岡市生まれ。羽黒高卒。石川県の漁業資材製造会社で研修を受け、21歳で漁師に。定置網漁船「仁豊丸」で副船頭を務める。


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2016年03月21日月曜日


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