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<原発賠償>東北25件提訴 ADR1万件超

シュプレヒコールを上げながら、福島地裁いわき支部まで行進する古里喪失訴訟の原告ら=2月17日、いわき市

 東京電力福島第1原発事故の被害者が国や東電に損害賠償を求めた訴訟が仙台、福島両地裁で審理されている。原子炉建屋3棟が水素爆発して放射性物質が広範囲に放出されるという事故の特殊性を反映し、訴訟対象の損害は財産の喪失から家族の離散、自殺まで多岐にわたる。訴訟とは別に、政府の原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)に持ち込まれる案件も多く、紛争は膨大な数に上っている。
 両地裁に提起された主な訴訟は表の通り。少なくとも25件に上り、このうち5件は地裁段階で賠償命令が確定したり、和解が成立したりしている。残る20件は、原発に津波が到達することが予見できたかどうかなどをめぐり、審理が続けられている。
 未曽有の原子力災害とあって、原告が訴える損害はさまざまだ。土地や建物の財産価値が失われたという主張だけでなく、家族の離散や自殺、転院を余儀なくされた患者の死亡、福島県内の取引先の廃業による収入減などをめぐっても国や東電に賠償を求めている。
 地元固有の文化や伝統、コミュニティーの崩壊など、地域の宝が失われた精神的損害を「古里の喪失」という新しい概念で問う訴訟も提起された。両地裁で複数の訴訟が審理中だ。
 原発事故の損害をめぐっては、政府のADRにも和解の仲介が申し立てられている。2011〜14年の4年間で、宮城、福島両県の住民からの申し立ては1万2003件に上り、全体の約8割を占める。
 訴訟とADRを手掛ける「みやぎ原発損害賠償弁護団」の斉藤睦男事務局長は「高齢で請求方法が分からないなど、賠償請求が可能なのに放置している人もいる」と指摘。訴訟やADRの件数は今後、さらに増える可能性がある。


2016年03月21日月曜日

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