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<被災校舎の行方>伝承へ残す価値十分

震災遺構に関するインタビューに答える亀山市長

 東日本大震災で被災した宮城県石巻市大川、門脇両小の校舎を震災遺構として残すのかどうか、亀山紘市長は今月中に結論を出す。判断のポイントや伝承への思いなどを聞いた。

◎石巻・震災遺構を考える(9完)亀山紘市長に聞く

<避難という教訓>
 −二つの校舎の保存意義をどう考える。
 「大川小は津波で児童・教職員計84人が犠牲になった。今後の学校の災害教育に役割を果たす貴重な建物だ。門脇小は津波と火災で多くの犠牲者が出た門脇、南浜両地区に立地する。校舎にいた人は裏山の日和山に逃げて助かった。被害の大きさとともに避難という教訓を残す意義がある」
 「両校舎ともに犠牲者を追悼し、伝承する遺構としての価値は十分にあり、同列に考えている」

 −保存の是非の判断で重視する点は。
 「住民や遺族の意見とコストの二つだ。大川小は住民団体『大川地区復興協議会』が保存を要望する。一方で、門脇小は住民組織『新門脇地区復興街づくり協議会』が解体を求める。昨年10月の市民アンケートでは意見が拮抗(きっこう)しており、広く意見を聞いて判断せざるを得ない」
 「初期費用や維持管理費の問題もある。将来に負担を残さないでほしいとの意見が市民から多かった」

 −どちらかの校舎は必ず残すのか。両方残すこともあり得るのか。
 「二つとも解体はあり得ない。どちらかは間違いなく残す。判断の時点で全体保存か、解体して一部保存するのか、ある程度は踏み込みたい。両方の保存は財源の問題がある。一つの保存でも初期費用は億円単位。二つ残すなら相当の財政負担になる。国、県の考え方も聞いていく」

 −庁内の震災遺構調整会議の報告書では、大川小について一部保存は詳細に検討していない。
 「大川小は校舎が老朽化しておらず、耐震補強を必要としない。大川地区復興協議会が言う全体保存か、解体が基本になると思う」

 −門脇小は南浜地区にできる復興祈念公園との関わりもある。
 「有識者委員会は公園と門脇小の連携を示している上、公園は校舎を意識した施設配置にもなっている。判断は公園との関係を考慮せざるを得ない。一部を公園内に移設することも考えられるのではないか」

<先送りせず判断>
 −保存の是非を年度内に判断するのはなぜか。
 「門脇小は老朽化し、風化も進んでいる。保存するなら補強が必要で、早く判断をすべきだ。また、震災遺構の結論は、私が先送りせずに判断するべきだ。震災から5年が過ぎると風化が進み、遺構は必要ないと思われる恐れもある」

 −市民には時間をかけて話し合うべきだという意見もある。
 「原爆ドームは判断を保留し遺構として残したという話があるが、戦後の復旧がほとんど進まなくて残っただけだと思う。今は時代が違い、どんどん復旧・復興が進む。震災の記憶も失われていく。残すべきものは早く残した方がいい」
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 東日本大震災で被災した宮城県石巻市大川小、門脇小の両校舎を残すのかどうか、遺族や市民の意見が割れている。保存を求める声、解体を望む人、または、そのはざまで揺れる思い。亀山紘市長は今月中に保存の可否を判断する。震災遺構について考える。(石巻総局・水野良将、高橋公彦)


2016年03月22日火曜日

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