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<センバツ>震災犠牲の友の形見握りしめ応援

震災で亡くなった元チームメートの釜石南時代のユニホームを手に、後輩たちに声援を送る小国さん=甲子園球場

 第88回選抜高校野球大会(甲子園球場)で21日、釜石(岩手)が1回戦で小豆島(香川)との21世紀枠同士の対決を2−1で制した。釜石南時代の1996年に初出場した時は初戦敗退しており、念願の初勝利。東日本大震災で亡くなった元チームメートのユニホームを持ち、スタンドで応援した20年前のメンバーで岩手県大槌町職員の小国晃也さん(37)=釜石市=は「力を出し切り、新しい歴史をつくってくれた」と感激した。
 小国さんは、一塁側アルプス席の最前列でかつてのチームメートと共に応援した。三塁手として出場した20年前に1回戦で米子東(鳥取)と対戦し、1−0とリードした二回途中で降雨ノーゲーム。翌日の再試合は7−9で逆転負けした。
 「甲子園は何があるか分からない。そういう想定が必要だ」。苦い経験を基に助言してきた後輩たちは三回に1点を先制し、注目カードにふさわしい好試合を展開する。「粘り強く戦っている」と勝利を願った。
 応援で手にする釜石南時代のユニホームは東日本大震災で亡くなった元チームメート、宮田豊さん=釜石市、当時(32)=の形見だ。大槌町役場では震災直後から復興推進課に配属され、復興交付金に関する業務に携わる。「5年前は野球ができる状況じゃなかった」。逆境をばねにした母校の甲子園出場は感慨深い。
 一方で、被災地の希望として注目を集める後輩たちへの気遣いもある。自分たちが初出場した時は、地元の鉄鋼業の衰退や人口減で「鉄の町に再び火を」と大きな期待が注がれた。地域の温かい励ましを力にしながら重圧も大きく、「自分たちのために野球を楽しんでほしい」と願った。
 釜石ナインは八回に1点を追加し、1点差で初戦を突破。夢の舞台はさらに続く。「甲子園は人生を変える存在。結果がどうであれ、その後の生活の原動力になる」。小国さんは経験が人を成長させてくれると信じている。(スポーツ部・及川智子)


2016年03月22日火曜日


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