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<電力自由化>価格先行 顧客囲い込み

JCOMが商業施設で開いた電力相談会。自由化への関心は高く、多くの買い物客が足を止めた=19日、仙台市泉区

 4月1日、大手電力会社が独占してきた家庭向けの電力販売が自由化され、全ての消費者が電気の購入先を選べるようになる。東北でも、他業種からの参入が相次ぐ「新電力」が、東北電力との顧客獲得競争を繰り広げる。全国で8兆円、東北で7300億円規模の家庭向け電力市場をめぐる競争時代の行方を探る。(報道部・村上浩康)

◎東北・競争の行方(上)争奪戦

<参入組手応え>
 仙台市泉区の無職鈴木里美さん(63)は今月19日、電気の購入先を東北電から切り替えることを決めた。
 4月から電力販売を始めるケーブルテレビ(CATV)のジェイコムイースト(JCOM、東京)が泉区の商業施設で開いた相談会。鈴木さんは、安定供給に支障は生じず大規模工事も必要ないと説明を受けた。
 同社のインターネット回線と固定電話を利用する鈴木さん。「電気代が安くなる上、請求が一つにまとまるのは便利」と申込書に判を押した。
 同社はCATVなどの契約者を対象に、使用量が月300キロワット時を超えてからの料金が東北電より10%安くなるプランを設定。月485キロワット時使う家庭では年間6540円の節約になる。
 JCOM仙台キャベツ局の担当者は「電気を使わない人はいない。電気から本業につなげる営業も展開できる」と顧客囲い込みへ手応えを語る。仙台市周辺の顧客約6万世帯のうち、2割程度の加入を目指す。

<本業とセット>
 東京、関西、東北など大手10電力の地域独占が長年続いた電力市場。2000年から工場や企業など大口部門で段階的に自由化が進み、市場の4割を占める家庭部門が総仕上げとなる。
 全面自由化をにらみ、国登録の小売事業者は全国で253社(18日現在)に達した。ガス、通信、商社、鉄道などの新規参入組が大手より割安な価格、本業とのセット割引を主な武器に、価格競争を展開する。
 東日本大震災後に大手の値上げが相次いだ影響で、消費者の乗り換え意欲は高い。博報堂(東京)が1月に公表したアンケートでは、7割が電力会社を「変えてみたい」と回答。選択で最も重視する点は「価格の安さ」が8割を超えた。

<10社前後販売>
 ただ、東北で4月から実際に家庭向け販売を始めるのは10社前後とみられる。JCOM仙台局の田村司郎営業部長は「東北はまだ参入が少ない。本格的な競争で市場が成熟するのはこれからだろう」と見通す。
 価格先行の風潮に疑問を投げ掛ける声もある。「消費者が選択する上で、どうやって作った電気なのかという情報の開示が必要だ」と話すのは宮城県生協連合会の野崎和夫専務理事。国が事業者による電源構成の開示を「努力目標」にとどめた点に懸念を示す。
 野崎氏は「電源構成が分からないまま、大手が原発の再稼働で価格的に優位に立てば、新電力の多くが淘汰(とうた)されかねない。市場原理だけでなく、エネルギー政策や公平な競争環境の検証が欠かせない」と話す。


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2016年03月23日水曜日


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