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<帰村宣言>野菜工場すくすく 売上高倍増へ

野菜工場で育ったレタスを手にする兼子さん

 福島県川内村で2013年3月に野菜工場を稼働させた地元の第三セクター「KiMiDoRi」が、首都圏の外食企業などと取引を広げている。15年度の売上高は前年度からほぼ倍増の1億円を超える見通し。従業員25人を抱え、東京電力福島第1原発事故で全村避難した住民の帰還が続く村にとって貴重な就労の場になっている。
 同社は村と青果物卸売業のまつの(東京)が出資して設立した。野菜工場は村が民間助成を得て建設。延べ床面積約3000平方メートルの屋内で、発光ダイオード(LED)灯や蛍光灯を使った培養液栽培を年間を通じて行う。数種類のレタスやハーブ類、カラシナなどを種から育て、1日約200キロを出荷している。
 栽培技術責任者の兼子まやさん(30)は「生産した野菜は露地ものより割高だが、無農薬で異物混入のリスクがなく安全安心を求める首都圏の外食産業が大口取引先になっている。洗う必要のない手軽さから東北でも業務向け販売が伸び、生協やスーパーにも販路が開けた」と手応えを語る。
 川内村は12年1月、全住民が避難した県内自治体で最も早く帰村宣言を出した。ただ現在住むのは1756人と原発事故前の6割にとどまり「帰還の受け皿となる就労先確保が課題」(遠藤雄幸村長)という。
 工場では、全町避難が続く隣接の富岡町の勤め先を失った女性や養鶏場を畳んだ元経営者、避難先から戻った住民らさまざまな境遇の人が働く。千葉県出身の兼子さんは千葉大大学院で農学の博士号を得て同社に就職、村に移住した。
 早川昌和社長は「品質、味とも高評価を得ている。生産量を増やし、地元消費地の郡山、いわき両市のホテルやレストランに顧客を広げたい。ニーズに合わせて栽培品目を検討する」と話す。


2016年03月24日木曜日

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