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<全町避難>苦難越え 一人だけの卒業生

卒業式後、先生や在校生と握手する大高君(左)=23日、いわき市

 東京電力福島第1原発事故で全町避難している福島県双葉町の双葉北小、南小の卒業式が23日、いわき市の仮校舎体育館で行われた。唯一の卒業生となった北小の大高滉士(あきひと)君(12)は南小を合わせた在校生9人に送られ、母校を巣立った。
 大高君は別れの言葉で「たくさん勉強し、町の復興を支える大人になりたい」と抱負を語り「震災はたくさんの悲しみだけでなく、たくさんの喜びも与えてくれた。僕はこれからも自分の夢を信じ諦めずに努力していきたい」と述べた。
 原発事故が発生した2011年3月、大高君は1年生だった。翌月、家族5人で新潟県上越市に避難したものの、心ない言葉を掛けられ登校できなくなった。
 14年6月、いわき市で授業を再開した北小に戻り同市の借り上げ住宅から通った。「双葉の学校だから友達がいるかも」と期待したが同級生はいなかった。
 大高君は当初、誰とも話そうとしなかった。担任の林香世子さん(50)らはパズルやブロックで一緒に遊ぶなど、心を通わせようと知恵を絞った。家庭とは連絡帳を毎日交換し、両親の不安解消にも努めた。
 学校生活に次第に慣れ、下級生の面倒をよく見るようになった。母の美穂さん(42)は「先生方が暗いトンネルに手を突っ込み、引っ張り出してくれた」と振り返る。
 渡辺由起子校長から「この2年間の成長は目を見張るものがありました」と褒められた大高君。「学校にまた通えるようになって良かった。2年間の全てが思い出」と笑顔を浮かべた。4月から仮校舎の2階にある双葉中に通う。


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2016年03月24日木曜日

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