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<野蒜小津波訴訟>命守る意識 徹底求める

避難場所となった野蒜小校舎。1階まで津波が押し寄せ、がれきの山が残る=2011年3月12日

 【解説】宮城県東松島市野蒜小をめぐる津波訴訟の仙台地裁判決は、教育現場に子どもの命を守る意識を徹底するよう強く求める内容となった。「安全の確認ができない限り、児童を引き渡してはならない」。教育界は災害時の引き渡しの在り方を示した司法判断を重く受け止め、行動に移す必要がある。
 判決は教育現場の責任について「安全とされている避難場所の野蒜小から移動させても危険がないかを確認する注意義務を負う」と指摘。その上で、野蒜小から児童宅までの間に津波浸水域があることを挙げ「同級生の親に引き渡すことの結果を具体的に予見できた」と結論付け、学校側の行動を問題視した。
 有事の際の保護者への引き渡しは、不審者対策などを理由に震災前から半ば常態化していた。国の調査では、震災時に安全が確認できるまで児童・生徒を待機させた学校は半数以下。岩手、宮城、福島3県の小中学校と特別支援学校に在籍していて犠牲になった児童・生徒計351人のうち、引き渡し後だったのは120人(34%)に上る。
 全国の教育現場では震災後、津波注意報・警報が出た際に引き渡しを原則、禁止する動きが広がりつつある。ただ、こうした対策を含めた判断基準は学校が地理的条件などを基にそれぞれ策定すべきだとされ、国や県などによる明確な基準がないのが現状だ。
 学校は子どもたちの教育を担うだけでなく、大切な命を預かる施設という側面を併せ持つ。教育界は次の大災害に備え、子どもの命と向き合った防災対策を徹底すべきだ。(報道部・斉藤隼人)
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 東日本大震災で宮城県東松島市野蒜小体育館に避難した後、津波で亡くなった住民2人と児童1人の遺族が、学校側の判断に過失があったとして学校設置者の市に計約5300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁は24日、「安全が確認されない限り、児童を引き渡すべきではなかった」として、同級生の親に引き渡された後に津波にのまれて亡くなった小学3年の女児=当時(9)=の遺族に約2660万円を支払うよう市に命じた。災害発生時の児童引き渡しの在り方をめぐる司法判断は初めてとみられる。


2016年03月25日金曜日

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