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<電力自由化>住民本位の供給を模索

新電力への参入を発表した東松島市などの関係者。エネルギーの地産地消で活性化を図る

◎東北・競争の行方(下)地産地消

<唯一の東北勢>
 須賀川ガス(福島県須賀川市)は「電気の地産地消」を掲げ、東北に本社を置く企業として唯一、4月から家庭向け電力販売に乗り出す。
 「専門性が高く試行錯誤だが、とにかく走りだしたい」と橋本直子副社長。国のガイドラインに沿った顧客の契約書作りなどの準備に追われる。
 自社の太陽光発電所のほか、卸電力取引所から電力を調達する。当面の顧客は本業のLPガス利用世帯など500件超を見込む。
 契約電流40アンペア以上なら東北電力より3〜6%安くなるプランを設定した。顧客の中には、東北電より価格が高くなる場合でも同社を選ぶケースがある。橋本副社長は「地元の企業だから応援したいと言ってくれる」と話す。

<再生エネ拡大>
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故以降、東北では大規模太陽光発電所(メガソーラー)を中心に再生可能エネルギーが急拡大した。大半は固定価格買い取り制度を使った中央資本による東北電への売電が目的だが、地元企業や自治体主体の取り組みが徐々に出始めた。
 宮城県東松島市は今月2日、市内の再生エネ電力を購入し、公共施設や農協などに販売する新電力事業に、宮城県内の自治体で初めて参入すると発表。事業主体の一般社団法人東松島みらいとし機構と協定を結んだ。
 阿部秀保市長は「震災後の停電で市民の生死に関わる事態に直面し、自立分散型エネルギーの必要性を痛感した。売電ではなく自分たちが使うことで、雇用などの経済効果が生まれる」と地産地消の意義を語る。10年後には家庭向け小売りの参入を目指す。
 東北では山形県、岩手県北上市なども新電力事業に取り組んでいる。

<「資源活用を」>
 民間の会津電力(福島県喜多方市)は震災後、福島県内の再生エネ拡大に取り組んできた。全国ご当地エネルギー協会(東京)の代表理事も務める佐藤弥右衛門社長は「安全安心の価値観や電気をつくり出す風景にこそ意味がある。豊かな自然や土地などの資源を地方が生かしていくことが、自由化のあるべき姿だ」と訴える。
 釜石市のスマートコミュニティー事業に携わる東京理科大大学院の橘川武郎教授(エネルギー産業論)は「自由化で勝つのは本当の意味で住民のためにやる会社。もうけを第一に考える会社は消費者に選ばれない。コミュニティーとのつながりの強さが生き残る力になる」と指摘する。


関連ページ: 福島 経済

2016年03月25日金曜日


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