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<富岡町議選>避難続き見えぬ住民 遊説苦慮

仮設住宅に設置された選挙ポスターの看板。入居者は半減し、演説が響くことはほとんどない=22日、福島県大玉村

 27日投開票の福島県富岡町議選(定数14)で、見えにくくなった有権者の姿に、候補者が苦慮している。町は東京電力福島第1原発事故で全町避難が続くが、4年の間に仮設住宅を出て生活再建を図る町民が急増。候補者の多くは仮設住宅での遊説を諦め、静かな選挙戦となっている。

<ピーク時の半分>
 「覚悟していたけれど、これほど少ないとは」
 告示日の17日。再選を目指す現職候補は福島県郡山市内の仮設住宅で第一声を上げた時、閑散とした光景に面食らった。町の再生方針などを訴えるが、表に出てきたお年寄りたちは10人いたかどうかだった。
 別の現職候補は、前回選挙(2012年)はハンドマイクを手に仮設住宅を歩いたが、今回は断念した。不特定多数に訴える場として仮設住宅は有効だが、「4年前に比べ、姿が見えにくくなった」とぼやく。
 原発事故後、全国にちりぢりになった町民は7935世帯1万5131人。約7割は福島県内が避難先だ。県内12カ所にある仮設住宅の入居者は2月末時点で723世帯。ピーク時の1415世帯(12年12月)に比べて半減した。
 宅地建物などの財物賠償請求が13年3月に始まり、新居購入に踏み切る町民が増えた。災害公営住宅の入居が始まったことも減少の要因だ。

<電話作戦が頼り>
 一方、町民が暮らす公営住宅でも、候補者は建物の前でマイクを握ることをためらう。福島県いわき市など他の自治体に立地し、富岡以外の避難者が入居する集合住宅もある。現職候補の1人は「スピーカーで声を張り上げれば、選挙とは無関係の住民に迷惑がかかる」と当惑する。
 仮設住宅や公営住宅の入居者を訪ね、投票を依頼する「戸別訪問」は公職選挙法で禁止されている。「富岡をこうしたいとか直接訴えたいが、電話とはがきに絞るしかない」と候補者は口々に言う。
 帰町開始目標の来年4月を控えた重要な選挙だが、投票率(前回48.62%)の低下も懸念される。現職候補の1人は「家を購入するなど避難先で生活が少しずつ落ち着いてくると、町への関心がさらに薄れかねない」と表情を曇らせる。


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2016年03月26日土曜日


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