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脱人口減へ岩手8市町一丸 格差大効果は?

8首長が連携協約に調印した締結式。人口減を食い止める連携が試される=1月15日、盛岡市

 盛岡市と周辺7市町が協力して成長を目指す「みちのく盛岡連携中枢都市圏」が動きだした。国の新たな自治制度を活用し、人口減少に耐えうる都市圏をつくる試みだ。域内人口は48万。基本戦略に経済成長けん引、都市機能集積、生活関連サービス向上の三つを掲げる。自治体間の施策連携で相乗効果を狙うが、域内の人口格差は大きく効果は未知数だ。(盛岡総局・横山勲)

<47事業を想定>
 中枢都市圏に参加する盛岡市南隣の矢巾町。人口2万6900。盛岡のベッドタウンとして長らく人口が増えてきたが、10年をピークに減少に転じた。
 2019年度、岩手医大付属病院(盛岡市)が同町に移転する。これを契機に町は住環境整備を進める。11年に始まったJR矢幅駅周辺の宅地を含む約33ヘクタールの区画整備事業はほぼ完了。4月には駅前に図書館と子育て支援センターが入る複合施設を開設する。
 高橋昌造町長は「広域医療拠点となる付属病院を中心に交流人口は確実に増える。人口減少を食い止めるには家族の集積を促すほかない。広域連携の情報発信の枠組みの中で矢巾の住環境の魅力をアピールしたい」と展望を示す。
 中枢都市圏が想定する事業は保育所の広域入所推進、在宅介護や高齢者医療の連携態勢整備、小児科救急医療病院への補助金支援、ごみ処理施設の集約化、起業ファンドの設立など47事業。盛岡市を中心に広域連携を拡充し、暮らしやすさを追求する。
 盛岡市都市戦略室の佐藤篤室長は「各市町の施策だけでは予算やマンパワーに制約が出る。相互にメリットが期待できる事業を連携して実施することで、持続可能な圏域づくりにつなげられる」と説明する。

<3市町で8割>
 中枢都市圏は、08年に始まった「定住自立圏構想」の想定人口を拡大し15年に総務省が募集を始めた。都市機能の集中とネットワーク化で活力ある拠点を形成するという触れ込みだ。
 自立圏構想が人口4万以上の中心市と周辺市町との連携を想定するのに対し、中枢都市圏は20万以上の中心市が必要。5年間毎年度、中心市に約2億円、周辺市町に1500万円程度の交付税措置がある。
 ただ、この連携で市町ごとの人口減少に歯止めがかかるかどうかは不透明だ。8市町最北部の葛巻町の人口は6800。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、40年に3600人まで減る。
 盛岡市と隣接する滝沢市、矢巾町の人口は合わせると37万で全体の8割を占める。ほかの1市4町との人口格差は歴然で、「盛岡一極集中」が浮かび上がる。
 鈴木重男葛巻町長は「全ての人が現住地の文化や生活を永続できる工夫がなければ将来の発展はない。国の制度に乗るだけでなく、過疎地のメリットとなる税制優遇などの制度改正を働き掛けるような連携も必要だ」と指摘する。

[みちのく盛岡連携中枢都市圏]盛岡、八幡平、滝沢3市と雫石、岩手、葛巻、紫波、矢巾の5町で構成。ことし1月、東北で初めて無期限の連携協約を締結した。2040年の目標人口は国立社会保障・人口問題研究所の推計より2万多い40万を目指す。谷藤裕明盛岡市長は「東北で仙台市に次ぐ都市圏を目指して連携を深める」と話す。


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2016年03月28日月曜日


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