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<災害FM>被災地相次ぎ幕 資金確保が壁

「おおつちさいがいエフエム」の放送最終日。花束を持った町民らが次々とスタジオを訪れ、閉局を惜しんだ=18日、岩手県大槌町

 東日本大震災で自治体が開設したFMの臨時災害放送局が、相次いで姿を消している。岩手、宮城、福島3県で24市町が運用したが、18日に岩手県大槌町が廃止するなど新年度は6市町に減る。役目を終えたとする自治体の判断や国の補助金打ち切りが理由だ。放送継続のためにはコミュニティーFMへの移行が必要で、資金確保が難関となる。(大船渡支局・太楽裕克、釜石支局・東野滋)

 <移行を断念>
 2012年3月から続いた放送を終えた大槌町の「おおつちさいがいエフエム」。町に運営を委託されたNPO法人まちづくり・ぐるっとおおつちは、2年前からコミュニティーFMへの移行を模索したが断念した。
 小向幹雄代表理事(80)は「広告が集まる見通しが立たず、運営費を継続的に確保することは難しいと判断した」と説明する。
 年間運営費は2000万円。津波で中心市街地が壊滅した町では商業者の再建が遅れ、広告の営業に回ることすら困難だ。一部の商店主に意向を聞いたが、スポンサーにはなれないとの回答だった。
 震災発生から5年。地元パーソナリティーの声や音楽で被災者を元気づける地域密着の番組にファンも増えていた。小向代表理事は「震災前にはなかったラジオが、町の新しい文化として育ちつつあっただけに残念だ」と肩を落とす。

 <「支援必要」>
 宮城県女川、亘理両町も資金難を理由に本年度で閉局する。一方、コミュニティーFMとして再出発した局の多くも、市などの支援に頼らざるを得ないのが実情だ。
 岩手県大船渡市のNPO法人防災・市民メディア推進協議会などが13年4月に開局したコミュニティーFM「FMねまらいん」。年間運営費3000万円の半分は国の緊急雇用創出事業の補助金を充てている。
 当初の運営費の大半は、法人会費や東京の企業の寄付で賄った。今野雅光放送局長(54)は「広告が収入のメーンとなる通常のやり方では運営がほぼ不可能だった」と振り返る。
 現在は広告収入が年間1200万〜1300万円に上る。被災後も市内の有力な企業や工場は健在。岩手県陸前高田市から企業が移転するなど地域経済が比較的堅調なことに支えられている。
 ただ補助金は本年度で終了する。今野局長は「広告収入には伸びしろが期待できるが限界もある。ラジオには公的な役割があり、災害に備えた情報伝達手段の多重化という面からも市の支援が必要だ」と訴える。

[臨時災害放送局]災害時に被害状況や住民の安否、支援情報を伝えるため、自治体が開局する。1995年の阪神大震災で初めて運用され、制度化された。東日本大震災の開局数は過去最多で期間も最長。3県で新年度も放送を続けるのは岩手県釜石市、岩手県陸前高田市、宮城県気仙沼市、宮城県山元町、福島県南相馬市、福島県富岡町。岩手県花巻、宮城県石巻など8市は既存のコミュニティーFMを活用し廃止で元に戻った。岩手県宮古、岩手県大船渡、宮城県大崎、宮城県名取の4市は新規のコミュニティー局に移行した。


2016年03月28日月曜日


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