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<安保法施行>自衛隊関係者と住民 賛否交錯

安保関連法が施行され、自衛隊の活動範囲は大きく広がる=28日正午ごろ、仙台市宮城野区の陸上自衛隊仙台駐屯地

 「自衛」から「他衛」へ。集団的自衛権の行使容認を核とする安全保障関連法が29日午前0時に施行された。他国軍への後方支援など自衛隊の活動範囲が広がり、武器使用基準も緩和される。東北の自衛隊関係者が「国防に必要」と賛意を示す一方、市民の間には今も「戦争のリスクが高まる」などの声が根強い。
 「世界情勢が緊迫する中、日本単独での防衛は限界がある。米国との協力を軸に安全を確保するべきだ」
 陸上自衛隊仙台駐屯地(仙台市)などで勤務した元1等陸佐の金田隆さん(64)=宮城野区=は安保関連法に賛同する。
 イラク南部のサマワに派遣され、物資輸送や要人警護に当たった元自衛官の男性(59)=宮城県多賀城市=は「世界の大勢では、軍事面での人的貢献は必須」としつつ、「海外派遣が今後増え、自衛隊が現地で難しい判断を迫られる場面は多くなるだろう」と話す。
 航空自衛隊三沢基地(宮城県三沢市)を10年前に退職した元1等空尉の引地勝博さん(64)は「専守防衛とシビリアンコントロール(文民統制)が保持される限り問題はない」と強調。元3等空佐の男性は「安保関連法は日本が米国から一定程度、親離れをする上で必要だ」と話す。
 今後は武器使用基準が緩和され、「駆け付け警護」や「宿営地の共同防衛」などが可能になる。現在、陸上自衛隊は南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加。各地の方面隊を主体とする部隊は5月と11月に入れ替わり、早ければ東北方面隊が主体でことし11月に派遣される11次隊から「駆け付け警護」など新たな任務が適用される。
 集団的自衛権の行使容認を閣議決定で突破するなど、憲法学者の大半が「憲法違反」と批判の声を上げ続ける中、市民の間には今も慎重論が根強い。
 陸上自衛隊第6師団(山形県東根市)で勤務し、昨年3月末に退職した元2等陸曹の男性(38)は「自衛官のリスクを高めるだけ。集団的自衛権の行使が可能になったことで、日本がテロの標的になる可能性が高まった」と心配する。
 父を太平洋戦争で亡くした青葉区の主婦鈴木道子さん(77)は「『戦争法ではない』と政府は言うが、首相が代わっても必ずその姿勢を貫き、二度と戦争をしないでほしい」と注文を付けた。


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2016年03月29日火曜日


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