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<仙台文学館>母あっての店…名物食堂閉店へ

常連客と談笑する星店長(左)。母から引き継いだ店を閉じる道を選んだ=仙台文学館の「杜の小径」

 文学者ゆかりの料理を提供することで知られた仙台文学館(仙台市青葉区)の名物レストラン「杜の小径(こみち)」が4月10日で閉店する。1999年の開店以来、切り盛りしていた店長三山タエ子さんが昨年6月に亡くなった後、長女の星経子さん(46)が引き継いだが、「母あっての店で、代わりはできないと痛感した」と店を閉じる道を選んだ。
 店は文学館開館と同時にオープン。翌年から同館の特別展で紹介する文学者の好物やゆかりの地の名物、作品中に登場する料理などを参考に会期中に特別メニューを提供してきた。
 その中心だったのが初代店長の三山さん。旺盛な探求心で作品や文献を読み込み、作家の家族にも取材。ゆかりの地にも足を運んだ。
 考えたメニューは50を超え、最初に考案した石川啄木ゆかりの特製はっとは、定番メニューとして今も残る。岩手・宮城内陸地震や東日本大震災の被災地支援で地元食材を使った料理も提供した。
 星さんは10年前から店を手伝い、三山さんが亡くなった後は店長として特別メニューも出した。それでも日ごとに母の存在の大きさに気付かされ、それがプレッシャーともなった。
 「誰でも家庭に招き入れるように接することができたのは母の持って生まれた魅力で、私にはできない。10カ月やってみたが、母がいないと店に芯がなく落ち着かなかった」と星さん。「気持ちが付いていかなかった。皆さんの期待に応えられず申し訳ない」と吐露し、利用客の長年の支援に深く感謝する。
 常連だった仙台市青葉区の歌人佐藤通雅さん(73)=河北歌壇選者=は「最近は独自の創作料理も始め、自分なりの考えで続けてくれればと願っていたので残念。それでも、ここまでよく頑張った。感謝を伝えたい」と惜別の言葉を贈る。
 杜の小径閉店後は、別の業者が飲食店を出す予定。開店時期は未定という。


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2016年03月30日水曜日

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