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<適少社会>小さい自治体ほど警戒

◎人口減 復興のかたち[18]第4部首長アンケート(2)集中の是非

 東日本大震災の被災地が、本格的な人口減少時代の中で持続可能な未来を築くために必要なのは「選択と集中」か「分散と均衡」か。
 全国の市町村の半分以上が将来消滅するかもしれない−との人口推計をまとめた「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)は、地方再興を図るには「若者に魅力ある地域拠点都市への投資と施策の集中」が欠かせないと提言した。
 岩手、宮城、福島3県の被災42市町村の首長を対象としたアンケートでは、提言への評価を尋ねた。「地方の衰退を加速させる」との懸念がある一方、仙台市や福島県いわき市など都市部を中心に「集中は必要」と肯定的な見方も寄せられた。

 アンケート対象の12市町村全てが消滅可能性都市に分類された岩手からは強い批判が相次いだ。
 久慈市の遠藤譲一市長は「拠点都市でない市町村は消滅してよいことになる」と憤る。陸前高田市の戸羽太市長は「このような提言が復興のさなかに出てくるのは残念」と答えた。
 釜石市の野田武則市長は「人口流出のダム機能となる拠点都市の確立は有効な施策」と理解を示した。
 宮城は15市町のうち、8市町に消滅の危機が指摘された。その一つ、気仙沼市の菅原茂市長は「ミニ東京、ミニ仙台をつくる」と異を唱える。
 2015年国勢調査で5年間の人口減少率が37%と、宮城県最大の女川町の須田善明町長は「拠点都市の機能高度化は必須」とした上で、「集積された都市機能を共有できるよう道路などのインフラ整備促進は拠点都市以外でも進めなければならない」と指摘した。
 仙台市の奥山恵美子市長は「周辺自治体をけん引する役割を果たすためには制度拡充や財源充実などの集中が必要」とコメント。東北の中心都市としての自負をにじませた。

 福島県では、原発事故で全域避難する飯舘村の菅野典雄村長が「効率一辺倒では小さな自治体の未来はない。平成の大合併の過ちを繰り返すな」と主張した。
 新地町の加藤憲郎町長は「人口減を考えることができた」と問題提起の意義を評価。「大都市へ流出する人の流れを地方拠点都市への通勤、通学に変えられるなら」との条件付きで機能集中を認めた。日本創成会議は福島県について原発事故の影響で消滅可能性都市の分類を見送っている。
 首都大学東京の山下祐介准教授(地域社会学)は「社会増が比較的多い自治体は『集中』を評価し、小さい自治体ほど不安を表現している」とアンケート結果を分析した。法政大大学院の小峰隆夫教授(経済学)は「首長は自らの自治体が利益を受けるかどうかで判断する。自治体の立場を超えて、ビジョンを語るのは難しい」と述べた。


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2016年03月30日水曜日


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