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<適少社会>7割肯定も注文相次ぐ

◎人口減 復興のかたち[19]第4部首長アンケート(3)「創生」どう評価

 「地方創生」は安倍政権の看板政策で、人口減少の克服や東京一極集中の是正を目指す。岩手、宮城、福島3県の被災42市町村の首長を対象としたアンケートでは「評価する」が4人、「ある程度評価する」が27人と合計で7割強に達した。「あまり評価しない」は9人、「評価しない」はゼロだった。2人は評価を保留した。
 国は従来の政策に、縦割りやバラマキ、表面的などの弊害があると認めた。地方創生では客観的な指標(KPI)で政策効果を検証し改善する仕組み(PDCA)を整え、人口減克服を確実に実現するとうたう。
 岩手県大船渡市の戸田公明市長は「最後のチャンスとの認識でKPIとPDCAを関連付けた地方版戦略の作成を求めた意義は大きい。高く評価する」と賛同した。福島県相馬市の立谷秀清市長も「十分な交付金」を理由に「評価する」と答えた。

 最も多かった「ある程度評価する」では「知恵とやる気のある自治体には良い」(岩手県宮古市)「相談への対応がいい」(岩手県陸前高田市)と前向きな理由が挙がる一方、交付金の使い勝手や国の姿勢への注文が目立つ。
 岩手県岩泉町の伊達勝身町長は「地方が安心して取り組めるよう長期支援制度が必要」と主張する。宮城県利府町の鈴木勝雄町長は「昨年末の加速化交付金は自治体に十分な検討期間がなく、上から目線の拙速な手法」と批判した。
 福島県楢葉町の松本幸英町長は「全国一律の取り組みであり、被災自治体は違う状況にある」と被災地への配慮を求めた。いわき市の清水敏男市長は「働き方改革など税制や規制で国の誘導が必要な分野もある。地方丸投げの部分も散見される」とけん制した。

 「あまり評価しない」と答えた岩手県普代村の柾屋伸夫村長は「交付金の自由度は高くない。地域格差を強める」と懸念する。同じく宮城県塩釜市の佐藤昭市長は交付金について「『先駆性』を含め審査基準が不明確で額も不十分」と訴える。
 福島県南相馬市の桜井勝延市長も「地方の取り組みを国が評価するのは地方分権に逆行する」と回答した。
 評価を避けたのは福島県の首長。富岡町の宮本皓一町長と葛尾村の松本允秀村長は「原発事故からの復興が優先で創生以前」などと説明する。
 法政大大学院の小峰隆夫教授(経済学)は「交付金型の支援を求める自治体が非常に多いが、全ての要求に国は応じられない。地方の活性化に必ず成功するうまい話はない。各自治体がリスクを負って自分で考えるしかない」と述べた。
 首都大学東京の山下祐介准教授(地域社会学)は「先駆的な取り組みだけを支援対象にすると取りこぼしが出る。自治体の事情に沿った施策を実現できる仕組みがないと、被災地は人口減対策どころか復興すらできなくなる」と指摘した。


2016年03月31日木曜日


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