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基準値以下の廃棄物「市町村が処理」大丈夫?

国の基準値以下の汚染牧草などを焼却処理した仙台市泉区の松森工場。処理能力の大きさが鍵となった

 東京電力福島第1原発事故に伴う宮城県内の指定廃棄物の最終処分場建設問題が行き詰まる中、県は放射能濃度が国の基準値(1キログラム当たり8000ベクレル)を下回り、市町村が責任を負う一般廃棄物の処理を優先させる方針を示した。今月中に県としての処理方針を出す考えだが、県内で処理実績があるのは仙台市と利府町のみ。仙台市は「処理能力の大きさと時間が必要」と難しさを指摘する。
 環境省のデータでは、県内の基準値以下の廃棄物は4万3000トン。ほかに指定廃棄物の放射能濃度の再測定の結果、基準値を下回ったのが2300トンある。
 県内には基準値超とみられるものの指定申請されていない廃棄物が2500トン程度ある。今後の同省の放射能濃度測定により、市町村が処理する廃棄物はさらに増える可能性がある。
 基準値以下の廃棄物は地元の市町村や広域行政事務組合の焼却施設で処理するのが基本だが、多くは処理能力や住民不安を考慮し、手が付けられていない。
 仙台市の場合、今泉(若林区)、葛岡(青葉区)、松森(泉区)の3工場で試験焼却を経て昨年8〜12月、放射性物質に汚染された牧草とほだ木計520トンを焼却処理した。
 放射能濃度は燃やすと濃縮されるため、焼却灰が基準値を超さないよう1日当たり家庭ごみなど約1000トンに対して廃棄物4トン程度を混焼。空間放射線量や灰、排ガス、放流水の測定を行い、情報は市のホームページなどで公開した。
 市環境局は「放射能濃度が比較的低い廃棄物が多かった上、焼却施設が三つあって処理能力も大きかったため処理が進んだ。それでも520トンを処理するのに4カ月かかった」と説明する。
 基準値を超さないよう処理するには廃棄物の放射能濃度を正確に測定する必要がある上、混焼する大量のごみも必要になるとして、「膨大な量の汚染廃棄物を市町村や広域組合で処理するのは現実的でない気がする」と市町村の苦悩を代弁した。
 村井嘉浩知事は3月28日の定例記者会見などで「簡単には解決できない問題で、県として強く関与することが必要だ」と強調しつつ、具体的な処理方針は「検討中の段階で何も決まっていない」と述べるにとどめた。


2016年04月05日火曜日


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