宮城のニュース

<E番ノート拡大版>隙を突く重盗 巧者発揮

2日の西武戦で本盗を決めたウィーラー(40)をベンチで迎える東北楽天・梨田監督(右)

 東北楽天が15−4で大勝した2日の西武戦(コボスタ宮城)。現役時代は名捕手で鳴らした梨田昌孝監督らしい試合巧者ぶりを印象づける戦術が見られた。一気に4点を奪い逆転した流れで迎えた三回2死一、三塁から重盗を決め結果的に決勝点となる5点目を奪った。梨田監督は「今年の東北楽天はいやらしいと思わせることができたはず。単独の盗塁ではない、いろいろな形で仕掛けてくるという意識付けをしたかった」と明かした。

<外国人にも浸透>
 4−1と逆転した後、一走に茂木栄五郎、三走にウィーラーを置き、右打席にゴームズ。その4球目に梨田監督は重盗の指示を出した。
 まず茂木が二盗を仕掛け、二塁手前で一時停止した。西武の捕手炭谷銀仁朗が二塁送球した瞬間を逃さず、今度はやや本塁寄りに歩幅を取っていたウィーラーが走った。炭谷の送球を受けた二塁浅村は本塁返球できず、茂木の二塁到達を許した上で、ウィーラーが頭から本塁へ滑り込むのを見守るだけだった。
 「3、4点で勝負が決まる」と考えていた梨田監督にとって、まんまと奪った決定的な追加点だった。
 まず西武守備の油断を突いたのが見事だ。バッテリーは俊足の一走茂木に対しては1度偽投をしてけん制したが、三走ウィーラーにはほぼ無警戒だった。茂木が二盗を仕掛けた瞬間、即座に炭谷が二塁で阻止しようと送球したのが、その証しだろう。
 真骨頂は三走と右打者が外国人選手なのにサインを出したこと。普通、主砲クラスは走者が動くことを嫌う選手が少なくない。にもかかわらず、大リーグ通算162本塁打のゴームズに対し、打ち気にはやる打者有利の2ボール1ストライクから「郷に入っては郷に従え、で日本のやり方、東北楽天の野球というものがある」(梨田監督)として、盗塁をアシストする空振りをさせた。

<知将の教え 継ぐ>
 応えたのがウィーラー。「あの走りがとにかく見事だった」と真喜志康永内野守備走塁コーチがたたえる通り、俊足の部類には決して入らないウィーラーを走らせたこともチーム戦術の浸透ぶりを印象づける。本人は「とにかくアグレッシブに次の塁を狙った。2死だからゴームズとはいえ、(盗塁の)サインはあると意識した。捕手が二塁へ送球した瞬間にいい走塁ができた」と胸を張る。
 「バッテリーが警戒しない鈍足の三走こそが、本盗しやすい」。東北楽天には、現役時に7度の本盗を決めたという知将・野村克也元監督時代の教え「無形の力」があり、その伝統も示せた。東北楽天で野村元監督の教え子だった渡辺直人は、西武の遊撃としてこの場面に立ち会ったが、「こちらとしては反省点が残ったが、久しぶりに頭を使い隙を突く楽天らしい野球を見た」と脱帽した。(金野正之)


2016年04月05日火曜日


先頭に戻る