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<原発事故>帰還と地域再建へ官民動く

5年ぶりに診療所を再開させた門馬さん

 東京電力福島第1原発事故に伴う住民避難が続く南相馬市小高区で、地域再建に向けた官民の動きが加速している。今月に入り開業医が業務を再開させたほか、市の福祉拠点がオープンするなど、生活環境が徐々に整いつつある。住民有志はイベントを通し、帰還機運を高める考えだ。
 診療所を再開させたのは外科医門馬弘晶さん(48)だ。初日の4日は開院前から住民が待合室に。小高区内で長期宿泊する半谷とみいさん(67)は「肩の治療に来た。地元に病院があると安心できる」と笑顔を見せた。
 地区にあった六つの個人診療所は、いずれも原発事故で休止を強いられてきた。「患者さんと向き合って、戻ってきたという実感が持てた」と門馬さん。当面は週2日、完全予約制で診察を続けるという。
 現状で帰還意欲を示すのは高齢者が中心だ。市は今月1日、福祉ニーズが高まるとみて、小高保健福祉センターの業務を再開させた。
 市の社会福祉協議会がデイサービスを提供するほか、健康相談員が相談に応じる。担当者は「地域や家族による支え合いが難しくなっており、幅広い支援が求められている」と話す。
 住民帰還を促そうと、有志によるイベントも計画されている。10日には小高区の浮舟文化会館で、福島県立博物館の赤坂憲雄館長とエジプト考古学者の吉村作治さんが対談し、歴史を通して地域の魅力を探る。
 対談は午後1時半から。南相馬市内の仮設住宅と会場をつなぐバスを運行する。企画した西山典友さん(63)は「地区住民が地元を訪れ、今後の生活を考えるきっかけにしてほしい」と話す。


2016年04月05日火曜日


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