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<川内村長選>賠償格差「心の分断」解消が鍵

生活環境の向上を目指し今年3月に開設された複合商業施設。コンビニや食堂などが入居する=3月15日、福島県川内村

 任期満了に伴う村長選が7日に告示される福島県川内村は、東京電力福島第1原発事故の避難区域の全解除を目前に控える。ただ人口は原発事故前と比べ4割減少。原発からの距離で異なる精神的賠償(慰謝料)により、村民間の「心の分断」も残ったままだ。(福島総局・藤井宏匡)
 「20キロ圏外の人が集まれば賠償格差の話が出る。のどかな村でいがみ合うことなどなかったのに…」
 地域内に原発20キロ圏と圏外の境界がある第5行政区。区長の高野恒大さん(66)は表情を曇らせる。
 村は原発事故で一時、全住民が避難。「旧緊急時避難準備区域」(原発20〜30キロ圏)は2011年9月に指定が解かれ、1人月10万円の慰謝料は12年8月で打ち切られた。
 一方、14年10月に解除された20キロ圏内の「避難指示解除準備区域」は昨年の政府方針で、18年3月まで慰謝料が支払われる。
 20キロ圏外の住民が賠償格差に不満を抱く理由の一つに、一家の家計を支えた若い世代が避難を続け、村に戻った高齢者の生活が苦しくなっていることがある。
 村は賠償格差策として、20キロ圏外の住民に1人1回限りで10万円分の地域振興券を配っているが不満解消には至っていない。高野さんは「村全体が同じハンディを背負っている」と訴える。
 事故前に3038だった村の人口は今年3月現在で1769。これ以上の減少を食い止めようと、村は就労の場確保に向けて企業誘致を積極的に進める。
 精密機器メーカーや家具製造・販売会社など3社が進出したほか、第三セクターによる野菜工場も稼働。17年度完成を目指す工業団地には、県内外の4社が進出予定だ。
 移住者を増やす施策にも本腰を入れ始めた。ひとり親家庭を主な対象に転居費用30万円を助成し、民間アパートの家賃も補助。保育料の完全無料化も実現し「女性と子どもに優しい村」をアピールする。
 村幹部は「村の人口を震災前に戻すのは難しいが、小さい中で新たに村づくりをする」と強調している。


2016年04月06日水曜日


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