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原発避難、休校…双葉高野球部3人最後の夏へ

春の大会に向け、練習する(左から)松本君、鵜沼監督、及川君、渡辺さん=いわき市のいわき明星大

 東京電力福島第1原発事故で福島県双葉町からいわき市に避難し、来春に休校となる双葉高の硬式野球部が「ラストシーズン」に燃えている。夏の甲子園に3度出場した伝統校も、今は3年生の選手2人とマネジャー1人。他校との連合チームで大会に出場する。3人は90年を超す歴史を背に「完全燃焼したい」と日々、練習を重ねる。
 部員は捕手の松本瑠二君(17)と外野手の及川彰大君(17)、マネジャーの渡辺陽奈さん(17)。保健体育の教師で4月に近隣校に異動した鵜沼良延監督(25)が引き続き指揮を執る。
 春休み中の練習は5時間に及ぶ。「実戦的練習ができない分、常に試合をイメージできるよう工夫している」と鵜沼監督。渡辺さんもバント練習の投手を務めたり、打撃練習で外野を守ったりと「選手兼任」だ。
 松本君は福島県楢葉町出身。小学3年で野球を始めた。6年の時に原発事故で避難し、中学校は2度の転校を経験。野球は途中で諦めるしかなかった。
 高校では「3年生に誘われ、打ったら気持ち良かった」と野球部に入った。当時2年生部員はゼロで、夏の大会後は1人だけに。その後、及川君が「(松本君に)熱心にというか、しつこく誘われ」入部。渡辺さんは「私たちの代で終わりなので一緒に頑張りたい」とことし2月に加わった。
 双葉高は原発事故後の2011年秋から連合チームで大会に出場し、現在は相馬農高(相馬市)、新地高(新地町)と組む。週末は車で1時間半かけて相馬農高に行き、合同練習する。
 昨秋の地区大会は初戦で敗れた。今季、春は県大会出場、夏は3勝が目標だ。
 「試合ではフルスイングする。双高野球部として完全燃焼したい」と松本君。及川君は「守備力を向上させ、打撃ではどんな形でも塁に出たい。歴史に負けないプレーをする」、渡辺さんも「先輩方の期待に応えられるよう、選手をサポートしたい」と意気込む。
 双葉郡では来春、双葉高を含む県立高5校が休校となる。硬式野球部があった4校のうち、活動を続けるのは双葉高だけだ。
 鵜沼監督は「最後に3人が『やり切った』と思えるようにしたい。それが、野球部の締めくくりにもつながる」と話す。

[双葉高]福島県立で1923年創設の旧制双葉中が前身。福島第1原発が立地する双葉町の帰還困難区域に校舎がある。現在はいわき明星大(いわき市)の教室を借りる。ふたば未来学園高(広野町)の開校に伴い、2014年度を最後に生徒募集を停止した。生徒は3年生11人のみ。野球部は73、80、94年に夏の甲子園に出場し、緑色のストッキングには3本の線が入っている。


2016年04月06日水曜日


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