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<オオカミ絵>焼失242枚復元 帰還の力に

オオカミ絵を全て完成させた荒井准教授と院生たち

 東京電力福島第1原発事故で全村避難が続く福島県飯舘村の山津見神社で3年前、焼失した拝殿のオオカミ絵が全て復元された。作業を担った東京芸術大の荒井経准教授らが、昨年秋に仕上げた第1期の100枚に続き、残る142枚を完成させた。生き生きとよみがえったオオカミたちの絵は来月、福島県立美術館(福島市)で披露される。
 荒井准教授は「自分たちの専門の技で村の応援に関われた。新しい命を吹き込まれた絵が、帰還する人々の力になれば」と語った。
 絵は2013年4月に火災に遭った拝殿の天井に飾られていた。宮司久米中時が1904(明治37)年、旧相馬中村藩御用の絵師に描かせたと伝わる。火災の直前、絵を調査した和歌山大観光学部の加藤久美教授らが全部を撮影していた。
 荒井准教授は大学院保存修復日本画研究室の院生ら約20人と復元を引き受け、写真から絵を分析。現地訪問の上で昨年8月以降、実物と同じ杉の板に一枚一枚、伝統技法で丹念に描いた。同11月には地元の佐須地区公民館で、第1期分の完成を住民に報告した。
 飯舘村は来年3月末に避難指示解除の見通し。同神社氏子総代の菅野永徳さん(76)=伊達市に避難中=は「来年帰村するつもりだが、共同体を立て直すのは大変だ。神社の拝殿は再建された。オオカミの絵を通して村の文化と歴史が発信され、新しい交流が生まれたらいい」と期待する。
 福島県美術館は「絵の魅力を広く伝えたい」(増渕鏡子学芸員)と来月28日〜7月3日、「よみがえるオオカミ」展を開催し、計242枚を一堂に披露する。


2016年04月10日日曜日


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