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<原発避難>車窓の花見 思いも揺れる

車窓から満開の桜並木を眺める富岡町の住民

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県富岡町の町民が9日、避難先から町内に集まり、満開となった夜の森地区の桜並木などをバスで巡った。被災家屋の解体が進むなど少しずつ変わる街並みと、震災前と変わらず美しく咲く桜。原発事故から6度目の春の風景を車窓から目に焼き付けた。
 県内外の避難先から町民が集まり再会を楽しむ「復興への集い」(町主催)の企画のひとつ。広野町内であった交流会の前に、約450人がバス18台に分乗し、桜並木や復興拠点の整備予定地などを見て回った。
 夜の森地区にバスが差し掛かると歓声が上がり、速度を落として桜のトンネルを進んだ。三重県紀北町から車で10時間かけて参加した貴田良一さん(56)は避難後初めて桜並木と対面。「震災前と同じ桜できれいだ。離れて暮らす町民みんなに伝えたい」と声を弾ませ、カメラに収めていた。
 同地区に自宅があり、郡山市で避難生活を送る佐々木千代子さん(59)は「町の人に会いたい一心で参加した。富岡の人たちと一緒に花見ができて幸せ」と感無量の様子。建物の解体などが進む光景には「復興に向かうのはうれしいけれど、変わりゆく町にさみしさを感じて胸が詰まる」と複雑な思いもにじませた。


2016年04月10日日曜日


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