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<三陸沿岸道>北海道と交流拡大期待

宮古−室蘭間に就航する川崎近海汽船のフェリー。道路網整備と合わせ観光、産業両面で期待が集まる=宮古港

 本州最東端にあり、岩手沿岸のほぼ中央にある岩手県宮古市。交通インフラが脆弱(ぜいじゃく)だった5万5000都市は、三陸沿岸道路の延伸で転換期を迎えつつある。(盛岡総局・山形聡子、宮古支局・高木大毅)

◎岩手復興 大動脈北へ(10)海路開ける

<フェリー初航路>
 三陸から北の大地へ。海の道が延びる。
 宮古港(宮古市)の藤原埠頭(ふとう)。岩手県で初のフェリー定期航路が2018年6月、室蘭港(北海道室蘭市)との間で就航する。
 「すぐ隣に新しい世界が開ける。産業復興への効果は大きい。北海道と経済連携を強めたい」。東日本大震災後、フェリー誘致に取り組んできた宮古商工会議所の花坂康太郎会頭は航路開設の意義を強調する。
 フェリーは川崎近海汽船(東京)が1日1往復を運航。宮古−室蘭間(325キロ)を10時間で結ぶ。就航するのは「シルバークイーン」(7005トン)。旅客定員は600人で、トラック69台と乗用車20台を積載できる。
 同社が就航に踏み切ったのは、三陸沿岸で道路網の整備が急速に進む現状があるからだ。
 宮古市は縦軸の三陸沿岸道路(仙台−八戸、359キロ)に加え、内陸の盛岡市に直結する宮古盛岡横断道路(100キロ)の結節点。海上輸送と陸上輸送の相乗効果が見込める。
 同社の寅谷剛常務は「新航路を検討する場合、陸上のアクセス条件が前提になる。仙台や八戸と行き来しやすくなることで、貨物や観光面のニーズは高まる」と利点を強調する。
 宮古では就航に向けた準備が本格化する。港湾を管理する県は本年度予算で、フェリーターミナルの設計費と工事費3億9000万円を計上。乗客の休憩所や乗船券販売所を備えるターミナルとフェリーへの橋脚、駐車場などを整備する。
<物流面で課題も>
 宮古市は5月にも官民連携の利用促進協議会を設立し、航路開設をアピールするとともに、室蘭市との交流も活発化させる。
 宮古の関係者がまず見込むのは、観光の活性化だ。現在、岩手県への修学旅行客のうち3割近くが北海道から。海上の直通ルート開設でさらなる増加を狙う。
 室蘭側にとってもフェリー航路は10年ぶりの復活。室蘭観光協会の仲嶋憲一事務局長は「個人客が東北を目的地とすることができる。開業した北海道新幹線とフェリーを組み合わせた周遊ルートの構築もできる」と期待を込める。
 対照的に、物流面は難題が待ち受ける。県内陸部に集積する工業団地で製造された製品を港から出す場合、大半は仙台港や八戸港、京浜港を利用する。宮古港からの海上輸送を増やすためには、道路網整備を見越した物流の転換戦略が不可欠だ。
 利用促進協議会は今後、北上市など内陸部の企業向けに、ポートセールスを展開する。宮古市観光港湾課の田中富士春課長は「さまざまな企業の貨物利用がなければフェリー航路は成り立たない。県内企業に広くアピールしたい」と話す。


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2016年04月14日木曜日


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