岩手のニュース

<三陸沿岸道>面で誘客 長期滞在狙う

神秘的な色彩を放つ龍泉洞の地底湖。道路網整備に伴い誘客増を目指す(岩手県岩泉町提供)

◎岩手復興 大動脈北へ(11)観光上向く

<1時間40分短縮>
 「ドラゴンブルー」の地底湖で知られる三陸屈指の観光地が苦しんでいる。
 国指定の天然記念物で日本三大鍾乳洞の一つ「龍泉洞」。岩手県宮古市の北に接する岩手県岩泉町にある。湧き出る水の地底湖は、世界有数の透明度といわれる。
 東日本大震災で洞内に被害はなかった。2011年4月末に営業を再開したが、観光の自粛ムードや風評被害で客は激減。11年の来場者は例年の3割程度の約6万2000人にとどまった。15年度は約17万3600人に回復したが、震災前の20万人には及ばない。
 運営する町龍泉洞事務所の三上薫所長は「道路網の整備が進めば、沿岸と内陸の間にある観光スポットとして復活できる。仙台や八戸との距離が近くなれば、広範囲で誘客が見込める」と期待を抱く。
 三陸沿岸道路(仙台−八戸、359キロ)が開通すると、仙台−宮古の所要時間は約3時間。現在の国道45号と比べ、1時間40分短縮される。東北自動車道で盛岡を経由するコースと比較しても、1時間程度短い。
 町はこれまで、宮古市の浄土ケ浜や田野畑村の北山崎など周辺観光地と連携して発信に取り組んできた。移動時間が短くなれば、周遊範囲の拡大や、1カ所にとどまる時間が長くなることが予想される。
 三陸沿岸道路の岩泉龍泉洞インターチェンジ(IC)から龍泉洞までは車で20分。町はIC近くに地元海産物の直売所を設ける計画だ。町経済観光交流課の三浦英二課長は「時間距離の短縮で、仙台空港を利用する国内外の観光客にもアピールできる。宿泊施設の整備が課題になる」と話す。

<民泊整備も必要>
 道路整備に加え、18年度にはJR山田線宮古−釜石間が復旧する。第三セクター三陸鉄道(宮古市)が運営し、山田線を挟んで三鉄南北リアス線が直結される。18年6月には宮古−室蘭間のフェリーも就航する。
 「これまでは点だった観光地が交通網の充実で線や面でつながる。宮古市は三陸観光の拠点になり得る」。景勝地の浄土ケ浜を眼下に望む「浄土ケ浜パークホテル」の関敦彦副社長兼総支配人は将来像を描く。
 同ホテルは3月、開館25年目で初の全館改装に踏み切った。団体客を主なターゲットとしてきたが、家族や少人数向けの客室を増やした。関副社長は「道路整備で個人移動が多くなる。宮古観光の転換期になる」と予測する。
 三陸鉄道の望月正彦社長も「鉄道と車を組み合わせた観光パーク・アンド・ライドのような仕組みができる」と新たな観光スタイルを模索する。
 県の観光施策アドバイザーでJTBコーポレートセールス(東京)の毛利直俊チーフディレクターは「三陸は観光資源が豊富。滞在時間が長くなればさらに魅力が伝わる。観光の循環を生むためにも、地場産品が並ぶ消費拠点や民泊の整備が欠かせない」と話す。


関連ページ: 岩手 社会

2016年04月15日金曜日


先頭に戻る