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<人口展望>被災地 目標達成に高い壁

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被害を受けた岩手、宮城、福島3県の沿岸市町村が描く将来人口が見えてきた。「地方人口ビジョン」で、各自治体は人口の減り幅を最小限に抑えた目標を設定した。それでも、実現には合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子の数)や人口動態の大幅な改善が必要となり、達成へのハードルは高い。
 岩手県野田村は、村民アンケートの「理想とする子どもの数の平均」の結果を参考に2040年の将来出生率を現在より1.07ポイント高い2.60に設定した。15年に25人減だった社会増減は25年以降、均衡に改善すると想定。目標人口を現人口(4127)から微減の3923にとどめた。
 宮城県南三陸町の人口見通しは9386。人口が急減した震災後の15年国勢調査を基に推計したため、10年国勢調査に基づく国立社会保障・人口問題研究所の推計(1万387)を40市町村で唯一下回った。
 同町は出生率が1.35から2.07へ、社会増減は228人減(15年度)から均衡になると設定。担当者は「達成に向けて非常に努力が必要」と話し、状況の厳しさをうかがわせた。
 東京一極集中の歯止めとなる「ダム機能」が期待される仙台市は、40年の人口を103万と予測した。将来出生率は0.06ポイント増の1.27と現実的な数値に抑えた。年間転入者は15年の2297人から約1200人に減ると見込むが、百万都市は維持できると見通す。
 福島県新地町は、現人口から14%増の9350を目標に掲げた。石油資源開発(東京)の液化天然ガス基地構想などの進展で、転入者の大幅増を見込む。同町の担当者は「人口を巡る自治体間の綱引きがより強まる」と身構える。
 原発事故で全域避難が続く福島県大熊町は「避難解除時期や学校再開の見通しが立っていない」として出生率、社会増減を推計せず、震災前後の動向を分析して5853人に設定した。長期の廃炉作業に伴い、復興拠点と位置付ける大川原地区への研究者や作業員ら2000人規模の転入を目指していく。


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2016年04月15日金曜日


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