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<人口展望>地域に合った政策必要

土山希美枝(つちやま・きみえ)北海道芦別市生まれ、法大大学院政治学専攻修了。龍谷大法学部助教授などを経て15年から現職。44歳。

 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の40市町村の地方人口ビジョンについて、龍谷大政策学部の土山希美枝教授(地方自治)は「国の意向を反映し過ぎで無理がある」と指摘した。政府が地方創生の総合戦略に掲げた支援策の実効性に疑問を呈し、「地域に合った政策を自治体は立案すべきだ」と提言する。

◎龍谷大 土山希美枝教授に聞く

 −地方人口ビジョンの策定を求めた国の狙いをどうみるか。
 「人口減少への問題意識は間違っていないが、科学的に根拠のない人口推計や将来出生率を掲げ、実現できるかのように説明している。予定調和で政策誘導した高度経済成長期の手法に似た危うさを感じる」

 −被災40市町村が策定した人口ビジョンの印象は。
 「人口1万に満たない岩手県の野田村や岩泉町が社会減を均衡まで回復させると設定したように、自治体側は国の意向を予想以上に反映させた。無理に国にお付き合いした印象がある」

 −国の総合戦略をどのように活用すべきか。
 「国のメニューは、先進地の成功事例から地域の中心人物や特殊事情など重要な要素をそぎ落としたもので、いわばモデルケースの劣化コピーにすぎない。補助金目当てに国の基準に合わせて政策を立案しても、うまくいかない。地域の課題解決のために政策を作るという地方自治の本質から外れてはならない」

 −自治体、住民が人口減少社会と向き合う方法は。
 「自治体の役割は人口を増やすことではなく、地域に必要不可欠なネットワークを整備すること。財源やマンパワーが限られる中、これまで通りの行政サービスは維持できない。どの施策を取捨選択するか、自治体と住民が一緒に解決の道を探るべきだ」

 −被災地は人口減少を先取りした形になった。
 「阪神大震災では被災地の住民が復興を通じて地域への愛着や魅力などを語り合い、地域の価値を創出していった。それぞれの街の人、風土がどんなに素晴らしいかを住民が共有してボトムアップで復興を進めてほしい」


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2016年04月15日金曜日


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