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<生乳流通改革>需給調整崩れると業界反発

河野行革担当相(右端)に指定団体制度廃止反対を申し入れる自民党の農林関係議員=20日、内閣府

 政府の規制改革会議が、酪農家から生乳を集めて乳業メーカーに販売する指定生乳生産者団体(指定団体)制度の廃止を提言したことを巡り、自民党や業界が反発の声を上げている。東北の関係者は、廃止によって需給調整機能が崩れ、乳製品など加工用が多い北海道の生乳が飲用として本州に入ってくることなどを懸念する。
 規制改革会議の作業部会は3月31日、制度を廃止し、指定団体以外の業者に出荷しても国の補給金が受給できる仕組みを提言した。販路の選択肢を広げて酪農家の規模拡大や投資への意欲を高め、生産量を回復させるのが狙いだ。夏前にも安倍晋三首相に答申する。
 背景には頻繁に起きるバター不足の問題がある。同会議は、生乳流通を見直して酪農家の所得向上や生産基盤の拡大が図れれば、店頭に並ぶバターなど乳製品が安定的に供給できると判断した。
 酪農業界は反発を強めている。日本酪農政治連盟の佐々木勲委員長は14日、自民党畜産・酪農対策小委員会に出席し、「指定団体制度の下、酪農家は安心して経営できた。生産者代表として憤りを感じる」と語気を強めた。
 生乳は、すぐに冷蔵保存しないと腐敗するため経費がかかる。指定団体は低コストで生乳を集め、個々の生産者では弱い乳業メーカーへの交渉力を高める役割を果たしてきた。飲用の需給状況に合わせて地域間調整をし、乳製品向けへの配分量を決めている。
 制度に頼る生産者の多くは消費地から離れた零細経営体だ。佐々木氏も盛岡市内で酪農を営む。「東北は条件不利地帯。東北の酪農家はやめろと言われているようなものだ」と憤る。
 これまで制度によって、生産コストの安い北海道産は乳製品向け、道産以外は飲用とすみ分けしてきた。自民党の小野寺五典政調会長代理(衆院宮城6区)は廃止によって価格の高い生乳に供給が偏り、調整機能が失われることを不安視。「北海道の生乳が本州に入ってくると最も影響を受けるのが東北の酪農家。廃止は論外だ」と批判する。
 小委の直後に開かれた党農林水産戦略調査会は、零細酪農家への影響や需給バランスの混乱を理由に廃止反対の決議をまとめた。同調査会は20日、河野太郎行政改革担当相に申し入れをした。

[指定生乳生産者団体(指定団体)制度] ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)、東北生乳販売農業協同組合連合会(仙台市)など全国10の指定団体に、チーズやバター、脱脂粉乳など乳製品向けの生乳を出荷した酪農家への「補給金」を給付する制度。加工用は飲用に比べ取引価格が低いため、収入を安定させ、再生産ができるよう支援する。規制改革会議は指定団体による生産数量管理が酪農家の経営規模拡大の障害となっていると指摘する。指定団体は制度の下、全国で97%の生乳を受託販売する。


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2016年04月22日金曜日


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