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<点検 佐竹秋田県政>風力誘致で雇用創出

風力発電用の風車が立ち並ぶ秋田港。風力発電事業の誘致は今のところ順調だ=秋田市

◎知事任期満了まで1年(下)産業振興

<コメ依存から脱却>
 「秋田の人口減少の原因はコメだ。農業県の中でもコメのウエートが高いほど、人口減少は著しい」
 佐竹敬久知事は昨年5月の定例記者会見で自説を披露した上で、県農業産出額に占める園芸作物の割合を増やす必要性を説いた。
 佐竹知事は折に触れ「コメ依存からの脱却」を唱えてきた。コメが5割以上を占める県農業産出額。2014年は1473億円と、米価下落が響き前年より243億円減った。稲作の大規模化、効率化が図られる一方、労働力の受け皿がなければ仕事を求めてさらに県外へ人が流出する。知事の発言には、農業の生産構造を変えない限り、基幹産業としての将来はないという強い危機感がある。

<売上高1億円目標>
 農業県としての生き残りを懸けた施策の柱が、14年度に始めた「園芸メガ団地」。花卉(かき)やネギ、エダマメなどの生産を地域ごとに大規模化し、首都圏へ通年で出荷する。県は農地整備費の2分の1を補助し、1メガ団地当たり年間1億円の売り上げを目指す。既に県内7カ所で計66ヘクタールを整備し、19年度までに計126ヘクタールに拡張する目標を掲げる。
 大館市雪沢の有限会社「アグリ川田」は本年度、エダマメの栽培面積を40ヘクタールに倍増させ、メガ団地を始める。品種選びやハウス利用で通年栽培を目指す。川田将平社長(35)は「コメだけでは農閑期の収入がなく、社員11人の雇用が続かない」と明かし、エダマメをコメに代わる主力作物と位置付ける。
 若者を県内に定着させるための雇用の場の創出も大きな課題だ。

<3年間で95基増設>
 佐竹知事は、大学で専門性を身に付けた若者の受け皿として、成長産業分野、中でも新エネルギー産業の風力発電事業の誘致に力を入れてきた。
 秋田港や能代港には、風力発電用の風車が立ち並ぶ。県内で稼働する陸上風力発電機は計204基。佐竹知事2期目のこの3年間で95基増えた。発電量は計28万1113キロワットに上る。
 県内で47基、計10万6650キロワットの風力発電を手掛けるユーラスエナジーホールディングス(東京)は「風に恵まれているのに加え、県の理解と協力があるから参入しやすい」。5月には由利本荘市に新たな風力発電機を設置する。
 さらに大手ゼネコンの大林組(東京)が能代沖に世界有数規模の発電所を計画するなど、順風が吹く。
 佐竹知事は「(風力発電事業は)建設工事やメンテナンスなど、県内経済への大きな波及効果が期待できる」と語り、積極的な誘致を続けていく考えだ。
 農業の生産構造を変えながら成長産業に注力し、若者が県内で働けるようにする−。秋田銀行のシンクタンク、秋田経済研究所の松渕秀和所長は、雇用構造の転換も目指した県の施策を「評価できる」と言う。その上で、風車などを建築する建設業を中心に人材不足が続く現状を指摘。「そうした業種の振興策や雇用のマッチングにも力を入れるべきだ」と提言する。


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2016年04月24日日曜日


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