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津波災害研究の山口弥一郎 功績調査へ

博物館が整理を進めている山口氏のノート

 福島県立博物館(福島県会津若松市)は同県会津美里町出身の民俗学者、山口弥一郎氏(1902〜2000年)の調査研究に着手した。津波災害の研究を手掛けた山口氏は東日本大震災後に注目されており、博物館は残されたノートといった資料を基に、新しい災害研究の方向性を探る。
 山口氏は地理学と民俗学の見解を採り入れて三陸地方の防災対策を研究。58年度に河北文化賞を受賞した。福島県の民俗研究の礎を築いたことでも知られる。43年発刊の著書「津浪と村」は震災3カ月後の2011年6月に復刊され、津波災害と集落移動の研究が再評価された。
 本人が残した資料は、磐梯山慧日寺資料館(同県磐梯町)が所蔵。重要性に着目した博物館は15年、協約書を交わして借り受け、整理と調査を進めることにした。物量は資料館が整理する蔵書以外の写真フィルム、景観や地質をスケッチしたノートなど段ボール箱42個分。いずれも貴重で、博物館学芸員の内山大介さん(39)は「一級品の資料」と指摘する。
 詳細な調査を終えるには、かなりの時間を要する見込み。現在はノート類を整理している段階という。
 内山さんによると、山口氏は、三陸では日常の問題として津波を捉えるべきだと考え、住民が高台避難後に再び沿岸部に戻ることを問題視。信仰や地域の事情を調べ、暮らしに入り込んで災害や防災の研究をしたという。
 内山さんは「山口氏は飢饉(ききん)や廃村などにも好奇の目を向け、東北を復興するにはどうすればいいかを考えた。残された資料への関心は高く、研究者のニーズに応えられるように整理を進めたい」と語る。


2016年04月25日月曜日


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