宮城のニュース

<適少社会>膨らむ市場 存在感増す

東北の工芸品が並ぶ金入のショップ。仙台を市場に可能性を探る=仙台市青葉区のせんだいメディアテーク

◎人口減 復興のかたち[29]第6部仙台の行方(4)経済の胎動

 人口が減れば経済活動もしぼむ。東北の地方都市が活力を失いつつある中、人口が増える仙台に、マーケットとして熱い視線が注がれる。東日本大震災後、人とともにモノ、カネも新たな動きを見せる。
 震災で被災した仙台市青葉区のせんだいメディアテークは2012年1月、全館再開した。1階の物販コーナーが一新され、八戸市の文具店「金入(かねいり)」のショップがオープンした。
 裂織(さきおり)、鉄器、こけし、樺(かば)細工、織物、張り子。最新の書籍や文具に交じり、棚に並ぶ東北各県の工芸品が異彩を放つ。
 金入が青森県外に店舗を構えるのは初めて。しかも東北の中心、仙台の情報発信の拠点に狙いを定めたのには理由がある。

 「今までにない価値観や市場を切り開きたかった」と金入健雄社長(35)。工芸品には大量生産にない手仕事の実直さがある。若者に東北の誇りを再確認してほしい、普段使いしてほしいと願う。
 「工芸品のプロデュースの可能性を試したい。仙台は都市圏の新たな需要を測る出発点」。仙台でシェアを奪うつもりは毛頭ない。15年7月、東京スカイツリーの商業施設「東京ソラマチ」への出店を実現した。地元青森の市場は人口減で縮小するが、八戸から仙台を通し、進む道を開いた。
 市場としての仙台の存在感は、東北の人口減が進むほど重みを増す。東北6県の人口は15年の国勢調査で、1950年から維持した900万を割った。仙台市は過去最多の108万人。秋田県全体(102万)をも上回る。変化に敏感な金融機関の動きは速かった。
 「震災復興や人口増で住宅ニーズが高まる仙台はマーケットとして魅力。秋田からの移住者が多い点も見過ごせない」。15年10月、仙台市泉区に宮城県内で31年ぶり3店舗目となる支店を開設した秋田銀行。担当者は出店の背景を明かす。

 旺盛な住宅需要を狙い、個人営業をメーンにした東北の銀行の支店増設が仙台圏で相次ぐ。14年には、北日本銀行(盛岡市)が34年ぶり、東邦銀行が36年ぶりに新支店を出した。
 潜在する個人客を掘り起こせ。仙台には東北5県、特に震災後は岩手、福島の被災県から移住者が増えた。その地縁こそ、県外金融機関の強みだ。
 東北各都市の人口が仙台に吸い寄せられても、仙台との時間距離は縮まる。東北自動車道や新幹線をはじめ、震災後急ピッチに整備が進む三陸沿岸道路や各横断道。仙台とつながるインフラの拡充が、新たな経済活動を生む。
 宮城大の徳永幸之教授(交通計画)は「人口減地域の企業が仙台市場に参入し、仙台から誘客する環境ができてきた。どうターゲットを絞り、独自性を出すかが勝負になる」と話す。
 東北の企業が仙台から東京、世界へ。好機は今だ。


関連ページ: 宮城 経済 適少社会

2016年04月27日水曜日


先頭に戻る