福島のニュース

<熊本地震>原発避難、被災…災害はどこでも

熊本地震発生当時を振り返る酒井さん(左)と妻孝代さん=26日、熊本市

 東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県いわき市から熊本市に自主避難したトラック運転手酒井智明さん(48)は、熊本地震でも被災し不安な日々を送る。2度の大災害を経験し「どこでも災害は起きる」と再認識した。防災の重要性を訴え、東北から避難した同じ境遇の人たちの安否も気遣う。
 「東日本大震災の時は地鳴りがして地震が来ると分かった。今回は突然、ドスンと突き上げられた」。酒井さんは14日に発生した直下型地震をこう振り返る。
 熊本市内では建物の倒壊が相次ぎ、住まいの県営アパートにはひびが入った。一緒に暮らす妻孝代さん(60)と義母(83)は無事だったが、近くの小学校に約10日間、身を寄せた。
 「避難所ではまともに食事が取れず、ストレスも多かった」。孝代さんは一時、体調を崩した。ガスが復旧した25日、アパートに帰ったが、余震で落ち着きを取り戻せない。
 原発事故時は約1カ月間、自宅アパートで屋内退避を強いられた。運送業だった酒井さんのトラックは津波で流され、休業に追い込まれた。美容師の孝代さんは揺れで転倒して腕を痛め、ハサミを握れなくなった。心身共に疲れて2011年4月、孝代さんの実家がある熊本市に避難した。
 熊本で暮らすうち、酒井さんにある違和感が生じた。震災当時の話をしていた時だ。「大丈夫。熊本で大地震は起きないよ」。そう口にする人が多かった。熊本の人は大地震の経験がほとんどなかったからだ。
 そして熊本地震。酒井さんは「『明日はわが身ですよ』と伝えてきたのだが…。全国どこも安心という所はない。防災の意識を少しでも高める努力をしなければいけない」と語る。
 酒井さんは昨年4月、東北から熊本県に避難した人の交流組織「くま・とも・ねっと」をつくり、代表を務める。現在の主要メンバーは約20人。月1回、交流会を開いたり、外出できない避難者の自宅を訪問したりして慣れない土地での苦労を分かち合ってきた。
 酒井さんによると、岩手、宮城、福島3県から約180人の避難者が熊本にいるという。連絡が取れない人が多い。「2度の災害は、本当につらいだけに心配だ。できるだけ安否を確認したい」と話した。(報道部・氏家清志)


関連ページ: 福島 社会

2016年04月28日木曜日


先頭に戻る