宮城のニュース

<楽天スカウト日誌>嶋の成長は予想以上

◎南関東担当スカウト 後関昌彦さん

 アマチュア選手の発掘にいそしむ東北楽天スカウトの思いをつづる「スカウト日誌」。2季目は長島哲郎スカウト部長、上岡良一アマ・スカウトグループマネージャーに加え、嶋基宏捕手や松井裕樹投手らをプロの世界へ導いた後関昌彦南関東担当スカウトも執筆陣に加わってもらい、12月まで随時掲載する。

 10年前の春、東都大学野球リーグ2部の国学大の主将を追い掛けていました。後に球界を代表する選手になるとは予想以上でした。2006年11月の大学生・社会人ドラフトで3巡目指名した嶋基宏のことです。
 有望な大学生捕手は他に2人おり、能力的には嶋が3番目という見方が主流でした。それでも自分は面白い存在だと思っていました。試合で守備に入る時などの二塁送球が常に正確でした。受ける側が捕って走者にタッチしやすい位置に確実に投げていたのです。
 現役時代にお世話になったコーチが「捕手は気配り、目配り、思いやりが大事」と言っていましたが、嶋はその通りの選手。獲得を推した決め手でした。創設間もないチームで捕手は補強ポイント。東北楽天の監督は名捕手だった野村克也さんでしたし、指導を受ければ花開くだろうという期待がありました。
 あの時は、オリックスも嶋を狙っていました。今だから言えますが、あいさつのため国学大を訪れたのはドラフト会議の1週間前。当時のスカウト戦略として、他球団に動向を探られないように、指名がほぼ確定した選手にだけあいさつに行くやり方でしたからね。
 だから竹田利秋監督(当時、宮城・東北高と仙台育英高元監督)に「来るのが遅い」と言われてしまいました。「行くなら東北楽天がいいと思っていたし、本人にもその気持ちがあるようだ。ただ誘いが来ないから半ば諦めていた」。野村監督の下で学んだ方が伸びると、竹田監督も思っていたようでした。
 一方で、ドラフト会議直前になっても、1巡目で指名する東洋大の永井怜投手(現ジュニアコーチ)の次を誰にするかは、決まりませんでした。3巡目でも即戦力投手を狙う案も浮上していました。それでも3巡目で指名しないと、オリックスに持っていかれる。最後は私の思いもくんでもらい、嶋との縁が生まれました。こういう巡り合わせというか思いが成就することは、最上位の選手が抽選で取れること以上に、スカウトとしてドキドキします。
 嶋は入団して何年か、野村監督の前に立たされてしかられるなどつらかったと思います。でも、それが財産になるはず。彼には失敗を成長につなげる吸収力がありました。同じものを昨秋に担当したオコエ瑠偉外野手も持っています。近い将来、嶋のように大きく羽ばたいてほしいですね。

[ごせき・まさひこ]千葉県鎌ケ谷市出身。千葉・習志野高出。81年ドラフト外でヤクルト入り。外野手などで活躍し、92年に近鉄で現役引退した。93年から近鉄の最後のシーズンとなる2004年まで12年間、東北担当スカウトを務めた。球団創設とともに東北楽天入りし、関東担当スカウト12年目。52歳。


2016年04月29日金曜日


先頭に戻る