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白瀬中尉の南極体験記録映像を修復

傷や汚れが目立つ修復前のフィルム(東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵)

 秋田県にかほ市出身の白瀬矗(のぶ)陸軍中尉(1861〜1946年)が日本人で初めて南極を探検した際の記録映画「日本南極探検」の35ミリモノクロフィルムを、東京国立近代美術館フィルムセンターがデジタル修復した。1912年に公開され、長編記録映画としては日本最古だが、オリジナルのフィルムは残っていないとされる。修復したフィルムは約46分で、編集されるなどして現存する物の中では最長の貴重な資料だ。

 白瀬は10年11月、探検船「開南丸」で南極に向かい、12年に帰国した。映像は無声で、犬の訓練や南極大陸を探検する様子などが収められている。出港する白瀬らを大勢の人が見送る場面もあり、当時の熱狂ぶりがうかがえる。
 フィルムは浜松市の個人が所有。同センターが2014年1月に借り、約4万4000こまを1こまずつコンピューターで読み取って傷などを修復した。
 フィルムの約3分の1にあった青や黄の着色も復元した。着色は、フィルム全体を黄色にする染色と、黒い部分を青色に変える調色が場面ごとに使い分けられていた。フィルムの着色は当時の無声映画によくみられたが、トーキーの普及に伴い廃れたという。
 「日本南極探検」は1912年6月、東京の浅草国技館で封切られた。白瀬が帰国後、探検費用の借金返済のために各地で講演した際にも上映された。上映用のポジフィルムからネガフィルムを起こすことが繰り返されたほか、再編集されることも多かった。
 同センター主任研究員のとちぎあきらさん(58)は「今回のフィルムは4本の異なる上映用ポジフィルムがつながれていた。経年劣化やつなぎ方の不備でこまがずれている部分があり、位置を変えて何度もスキャンした」と2年以上にわたった修復作業を振り返る。
 現存するフィルムは他に同センターが所蔵する35ミリ、約20分と、早稲田大学の16ミリ、約15分の2本しか確認されていない。今回のフィルムは同センターの所蔵品よりも各場面が長くなっている一方で、追加や欠落した場面は少ないという。
 とちぎさんは「当時の記録映画は3分前後が多かった。今回の映像は白瀬の南極探検の記録としてだけでなく、日本映画史にとっても貴重な資料だ」と話す。
 フィルムは秋ごろ、同センターで上映される。


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2016年05月08日日曜日


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