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<E番ノート拡大版>素振り黙々 聖沢けん引

6年ぶりに2試合連続本塁打を放った聖沢=7日、ヤフオクドーム

 過去2年不振が続いていた東北楽天の聖沢諒外野手が切り込み役として輝きを取り戻している。規定打席に2打席足りないとはいえ、打率3割4分1厘は攻撃的2番を印象づける数字だ。3割5分2厘でリーグ首位打者の1番岡島豪郎と共に打線をけん引している。外野の定位置奪還を期して、オフから真剣に取り組んできた素振りが復活の要因のようだ。
 主に1番で活躍した2010〜13年当時の聖沢らしい小さく鋭い振りから、速い打球を飛ばす姿を見せたのが、4月29日のオリックス戦。広角に打ち分ける出色の打撃だった。ボールが逃げるため左打者には打ちにくい左腕松葉貴大を全く苦にしなかった。「体が開かずうまく打てた」と一回は外角球を左前へ、三回には高めの変化球を引き付けて中前へ。さらに八回は右腕塚原の速球を右前に引っ張り、今季4度目の1試合3安打を記録。「各方向にバランス良く打てているのは全ての球に反応できているから」と納得の打撃だった。

<独特の感覚会得>
 オフからの努力を聞くと、どこか剣豪のような雰囲気さえ漂わせる。まず母校の国学院大で恩師の竹田利秋総監督(宮城・東北高と仙台育英高の元監督)から指導を受け、バットとボールの距離感を見直した。「打撃の土台をつくるため、基礎の素振りを大事にした」。2月の久米島キャンプでも黙々と振り込み、体に理想の動きを染み込ませていた。
 結果、独特の感覚を得た。打者は投球を打つという面で常に受け身だが、聖沢は主体的に打撃をする形を見つけた。「打席で投手の球に合わせにいくという意識から、球に対して素振りをしてくる感覚になった」
 自然とボール球に手を出さなくなった。際どい球が来ても「今はうまくバットが止まる」。昨季、4打席に1度だった三振が今季は9打席に1度の割合に。

<光る研究熱心さ>
 この選球眼で打者有利のカウントに持ち込み、勝負できるようになった。6、7日のソフトバンク戦では6年ぶりに2試合連続本塁打。6日は2ボール、7日は1ボールから右翼席に運んだ。ストライクが来る確率が高いカウントに持ち込むことで「迷わず振りにいけた」。打撃感覚はまだ研ぎ澄ます必要があるといい、「ホームベース寄りに体重をかけると、のけぞらずにぐっと体に力が入った状態で打てる。日々、勉強しながらですね」。
 コボスタ宮城で3日、運転を始めた観覧車をバックに笑顔で記念撮影に応じるなど、少年のような無邪気さから周囲に天才型と思われがち。だが人一倍の研究熱心さで、12年には盗塁王を獲得している。チームは連敗中で沈みがちだからこそ、自分の野球道を貫く聖沢の存在感が際立つ。(金野正之、佐々木智也)


2016年05月11日水曜日


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