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<熊本地震>僧侶ら傾聴喫茶 苦悩を分け持つ

被災者の話に耳を傾ける山口さん(中央)と吉尾さん(奥)=熊本県益城町のグランメッセ熊本

 熊本県や福岡県などの僧侶や牧師らでつくる九州臨床宗教師会が、東日本大震災後、仮設住宅などで続いている移動式傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」を熊本地震の被災地で始めた。被災者はお茶を飲みながら、ため込んでいた思いを吐き出す。宗教者は不安や愚痴、とりとめのない話に耳を傾け、苦悩を分け持つ。
 熊本県益城(ましき)町の大型展示場グランメッセ熊本。被災者が寝泊まりする車が多く並ぶ。九州臨床宗教師会長の吉尾天声さん(50)らは広場の一角にテントを構えた。
 「本格的なインスタントコーヒーですよ」。活動初日の4月末、熊本市の僧侶山口達也さん(55)が冗談を交え、明るく被災者に茶を勧めた。
 家族ら3人と訪れた同町の無職平島広美さん(73)は「深刻に話をされるよりも心が和む。沈んでも笑っても一緒やもんね。温かい気持ちになった」。
 平島さんの自宅は「半壊か一部損壊」。余震のたびに壁がぱらぱらと崩れ、怖くて親子3人で車中泊していた。この日から親族が送ってくれたテントで過ごし、「やっと足を伸ばして寝られる」と笑った。吉尾さんらも笑顔でうなずいた。
 吉尾さんは熊本市の浄玄寺住職。「不自由な生活を長く強いられ、生きる意味を見失ったり、不安を募らせたりする人がいる。生活再建に向けて困難に直面したとき、『心の背骨』が折れないよう根っこの所で支え合う。長期の関わり合いに意味がある」と継続的な活動を決意する。
 「みんなが被災者、みんなが主役、みんなが応援者ということを震災の被災地、東北から学んだ」と山口さん。「それぞれの立場で目の前の人に向き合う。そんな活動を熊本でもやっていきたい」と話した。
 九州臨床宗教師会は2年前に活動を始め、昨年1月に正式に発足した。メンバーは18人。布教を目的にせず、宗教や宗派の枠を超え、終末期患者らの苦悩を受け止めてきた。
 震災の被災地でカフェ・デ・モンクを開いてきた栗原市築館の通大寺住職、金田諦応さん(60)は仲間の熊本での活動について「古里を失うことは命を落とすことと同じ苦しみ、悲しみがある。じわっと広がる喪失感に寄り添えるのが宗教者だ」と強調する。(報道部・藤本貴裕)


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2016年05月11日水曜日


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