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<奔流乱流1強政治>大義優先 拭えぬ距離

野党4党首と仙台市内であった連合宮城のメーデー(右上)のコラージュ。背景は安保関連法に反対する国会前のデモ

◎参院選東北(中)ガラスの共闘

 突然の退場劇に、野党共闘をアピールする晴れ舞台は「主役」を失った。
 盛岡市の盛岡城跡公園で1日あった連合岩手のメーデー集会。直前の4月27日、参院選岩手選挙区(改選数1)で3選に意欲を示していた生活の党現職主浜了が突如、引退を表明した。

<現職引退で白紙>
 共闘のシナリオは狂った。野党統一候補の擁立に向けて締結するはずだった民進、共産、社民各党との政策協定は中止に。現職はおわび行脚に奔走し、後継には達増拓也知事の元政務秘書が急浮上した。
 「全て白紙だ」。メーデー後、民進党県連幹事長の階猛(衆院岩手1区)は険しい表情で語り、「4党が納得しないまま拙速に決めるべきではない」と生活主導の動きをけん制した。
 今月7日、民進党県連は新たな統一候補として元衆院議員の擁立を決定。10日の4党実務者協議では最終合意に至らなかった。生活代表の小沢一郎(衆院岩手4区)は同日の定例記者会見で「長く話し合っている時間はない」と早期に決着させる意向を強調した。
 参院選で「1強政治」の流れを変える−。旧民主、共産、旧維新、社民、生活の野党5党首は2月、協力体制の構築を確認。政策や理念の違いを棚上げし、安倍政権打倒の大義を最優先に結束した。共産党委員長の志位和夫は安全保障関連法廃止などを公約に掲げることを条件に、全国32の1人区で公認候補を取り下げる方針を表明した。
 東北でも5県で候補者一本化が成立するなど共闘が加速するが、一枚岩になれない状況も見え隠れする。

<政策協定避ける>
 福島市のホテルで6日、民進、共産、社民の3党による福島選挙区(改選数1)の共闘に関する締結式があった。3選を期す民進現職は「非自民勢力を結集する」と高らかに宣言した。
 ただ原発や環太平洋連携協定(TPP)など重要項目を盛り込んだ政策協定は避け、安保関連法廃止や福島復興を掲げた「合意確認書」の調印にとどめた。
 陣営は既に社民の推薦を受けている。共産党県委員長の久保田仁は記者会見で推薦の意向を示したが、民進党県連代表代行の金子恵美(衆院比例東北)は「これ以上推薦願いを出すことはない」とつれなかった。
 県連関係者は「共産とは一緒にやれないとの声が内部に根強い」と懸念を隠さない。共産県委の幹部は「利用されている感は否めない」といぶかりつつ、「全国的な流れに福島だけ乗り遅れるわけにいかなかった」と実情を明かす。
 「試金石」とされた4月の衆院北海道5区補選では、野党共闘の無所属新人が自民新人に僅差で敗れた。一定の無党派層を取り込んだが、相乗効果の限界点もあらわになった。
 全国に先駆けて共闘を実現した宮城選挙区(改選数1)では危機感が広がる。民進党国対委員長の安住淳(衆院宮城5区)は4月29日、連合宮城のメーデー集会で引き締めを図った。「われわれは国民に存在意義を突き付けられている」(敬称略)
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 7月10日の投開票が有力視される参院選まで2カ月を切った。憲法改正へさらなる数を求める自民党に、野党は塊となって共闘のやぐらを組む。衆参同日選の可能性は完全には消えていない。安倍1強の奔流。それに抗(あらが)う野党の乱流。相まみえる東北の政治現場を追う。(参院選取材班)


2016年05月12日木曜日


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