福島のニュース

<全町避難>夜の森の桜 3D再現へ

車載式の3Dレーザースキャナーやドローンで桜並木をデータ化した
夜の森地区の桜を3Dレーザースキャナーで撮影する業者

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県富岡町が、地元の夜の森地区にある桜並木の立体映像化(3D)に取り組んでいる。今年の満開時期には測量を実施した。「桜のトンネル」は町民の心のよりどころで、町は映像を携えて学校などを回り、古里とつながる機会にしてもらう。
 桜並木は全長2.2キロで、ソメイヨシノ約400本が続く。測量は4月1日から10日ごろまで、業務を受託した地元の建設コンサルタント会社が行った。
 高精度の映像を作るため、ドローンで空撮し、地上からは3Dレーザースキャナー2台で測量。花びらや枝葉などの位置情報を膨大な点群データで面的に記録し、立体映像に仕上げる。完成は7月ごろという。
 映像は町が導入した機器「MRシステム」で再現する。専用ヘッドセットで見ると風景が等倍で広がり、桜のトンネルを見上げることができる。機材の持ち運びが容易で、3月にいわき市で開催した企画展では、地域で信仰されていた観音堂などを公開した。
 夜の森の桜の大半は、立ち入り制限されている高線量の帰還困難区域。町は避難先のサロンや福島県三春町内に移転する学校を回り、満開の季節を疑似体験してもらう。担当する三瓶秀文主任学芸員は「離れていても、町とのつながりを感じる機会になればうれしい」と話す。
 特に子どもたちには見てほしいという。町が震災後、子どもに実施しているアンケートでは、富岡の好きな点や誇りに「夜の森の桜並木」を挙げる回答が圧倒的に多く、桜並木は特別な存在になっている。
 三瓶学芸員は「桜のことをあまり覚えていない児童も多くなった。3D映像を通じてトンネルを見上げてもらい、生まれたのがこんな場所だったんだよということも伝えたい」と願う。


2016年05月14日土曜日


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