広域のニュース

人工知能活用 農業版「小泉改革」に農協困惑

生産資材価格の「見える化」など改革策を提示した小泉自民党農林部会長(中央)

 農業の構造改革や中長期的な環太平洋連携協定(TPP)対策に取り組む自民党農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム(PT、委員長・小泉進次郎党農林部会長)が、緊急提言を取りまとめた。人工知能(AI)活用などに加え、複雑な流通構造や価格形成システムで割高になっている農業資材コスト削減が柱。かつての「小泉構造改革」の農業版とも言える試みに、東北の単位農協からは不安視する声も上がる。(東京支社・小木曽崇)

<技術伝承にAI活用>
 PTが11日に取りまとめた緊急提言の主な内容は表の通り。同日のPT会合では、農林水産省幹部らがAIを活用した「生産性革命」を説明。枝切りや収穫のロボット化、AIを活用して熟練農家の技術伝承を図る「人工知能未来農業創造プロジェクト」(仮称)を紹介した。
 終了後、小泉氏は「役所は、ここまでのAIと農業の連携事業をしたことはない」と評価。PT副委員長を務める鈴木憲和衆院議員(山形2区)は政府が近く策定する成長戦略に反映させる方針を示し、「できることから実現させる。生産現場にも努力してもらい、東北の農産物を世界に売り込む」と意欲を見せた。
 今秋の最終取りまとめに向け、焦点になりそうなのが農薬や肥料、農機など生産資材の流通・加工構造の「見える化」だ。
 現状では農協やホームセンターなど購入先によって大きな価格差があり、価格を比較せずに購入する農家が多い。緊急提言で具体策は示されなかったが、小泉氏は流通構造などを透明化し、自律的に価格が下落するシステムを構築させたい考えだ。

<農林中金には触れず>
  全国農業協同組合中央会(全中)の奥野長衛会長は12日の記者会見で「本当ならば、自己改革としてやり遂げないといけない内容。農業をどう変えるか共通認識はできている」と一定の理解を示した。
 一方、最前線の農協からは困惑の声も上がる。宮城県内のある農協幹部は「農協は資材を売るだけでなく農業技術も伝えている。価格だけで比較され『農協の資材は高い』と言われても困る」と反発する。
 小泉氏は1月、農林中央金庫(農林中金)の農業融資額の少なさを挙げ「農林中金はいらない」と問題提起しているが、今回の提言では触れなかった。日本の農業の抱える構造的な問題にどういった方向性を出すのか。取りまとめの行方を農業者が注視している。


関連ページ: 広域 政治・行政

2016年05月15日日曜日


先頭に戻る