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<想定外に備える>滞る物資 対応後手に

混み合う避難所で生活する避難者。夕食の支給に長蛇の列ができた=4月18日午後5時30分ごろ、熊本県益城町保健福祉センター

◎熊本地震1カ月(2)直後の混乱

 熊本地震発生直後、被災各地の避難所は混乱を極めた。十分な物資が行き渡らない。おびただしい余震と相まって、避難者に不安と恐怖が広がった。
 熊本県御船町の無職一森スエコさん(83)は、前震が起きた4月14日夜の寒さが忘れられない。町スポーツセンターに今も避難する。
 その夜、避難所が分からず、たどり着いた先は知らない人ばかりだった。冷えた体を温めようにも配られたのは毛布とシート1枚ずつ。「不安でいっぱい。寒くて耐えられんかった」

<集積所止まり>
 熊本県内の避難者は17日午前、ピークに達した。855カ所に約18万4000人。被害が大きかった益城(ましき)町の避難所は人であふれ、わずかな食料を求めて長蛇の列ができた。
 県内では、物資が避難所に届かない状況が数日続いた。食料、水、毛布…。全国からの支援物資を積んだトラックは、夜を徹して被災地に向かっていた。熊本市の集積所では18日、トラックが十数台並んでいた。物資はそこで滞っていた。
 「全て後手後手になっている。極めて遅れているという認識を持ってほしい」
 大西一史熊本市長は20日の災害対策本部会議で、職員にげきを飛ばした。

<「直接」に変更>
 同日、仙台市の職員2人が熊本市に向かった。東日本大震災では、物資の輸送・管理の立案や避難所開設の中心的な役割を担った。熊本市が直面する課題が次々と浮かび上がってきた。
 同市の分配方法は、市内の集積所から各区役所に送り、そこから避難所に配る2段階方式。震災当初、仙台市が遅配を招いた手法と同じだった。避難所のニーズを把握する仕組みがなく、集積所での物資の仕分け管理も行き届かない。
 仙台市職員の助言などを踏まえ、熊本市は自衛隊に協力を要請。25日から各避難所の依頼書に基づき、必要な物資を集積所から避難所に直接届ける方式に改めた。
 物流業者とも協力し、集積所で物資を種類別に管理する方法を導入。すぐに必要でない物は、県外の倉庫を借りて保管した。避難所では避難者把握のため、世帯ごとに名前や連絡先を記入するカードを配布した。
 助言した仙台市まちづくり政策局の天野元・政策企画部長(51)は「仙台も当初は混乱した。素人の行政職員だけではなく、事前に物流業者の意見を聞いて物資配送計画を作ることが重要だ」と語る。

<自助も不可欠>
 住民の自助も欠かせない。益城町に支援で入った任意団体「ウェザーハート災害福祉事務所」(宮城県富谷町)の千川原公彦代表(45)は「(現場を仕切る)担当者がいなくても住民一人一人が主体的に動ける訓練を全国で行う必要がある」と指摘。「最低3日分の食料などは住民自身が備え、その間に行政が体制を整えるのがいい」と話す。


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2016年05月16日月曜日


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