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<農業白書>TPP 現場の不安一掃を

 【解説】2015年度版農業白書はTPP大筋合意を背景に、世界の生産現場や食料事情にいや応なく直面する日本農業の置かれた現状と、政府の目指す方向性を強く意識させる内容となった。
 森山裕農相は17日の閣議後の記者会見で「日本の農業の強さを知ってもらいたい。TPPで農業の将来がどうなるのか知ってほしい」と強調した。白書で触れたように昨年のイタリア・ミラノ国際博覧会では、日本の農林水産業や食文化を発信し、世界から高い評価を得た。日本の誇る食の輸出拡大を目指す方針に異論はない。
 農地面積や就業者数を基に食料を生産する潜在力を示す「食料自給力指標」の推移を重要テーマに据えたのも、世界的な人口増に伴う食料需給逼迫(ひっぱく)を見据え、日本の農業の在り方を考えるためだ。農水省担当者は「食料安保に関する議論を深めたい」と狙いを語る。
 ただ、世界戦略を練る前提となるはずのTPPの影響試算を巡っては、農業者ばかりか自治体からの理解も得られていない。特に輸入増加相当分を政府備蓄米として買い入れるため影響額をゼロとしたコメの試算結果には、東北では青森、岩手、山形各県が「県産米価格は下落する」などと異論を挟んでいる。
 今国会ではTPP関連法案の採決は先送りされた。参院選後の秋の臨時国会で、農業の未来を徹底議論し、生産現場の不安や疑問に答えるさらなる努力が国には求められる。(東京支社・小木曽崇)


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2016年05月18日水曜日


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