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<在宅被災者>きめ細かい実情把握必要

在宅被災者の実態調査を指揮した山谷弁護士

 東日本大震災の被災地で「在宅被災者」を巡る実態調査をした仙台弁護士会災害復興支援特別委員長の山谷澄雄弁護士に、現状と課題を聞いた。(聞き手は報道部・高橋公彦)

◎仙台弁護士会復興支援特別委 山谷澄雄委員長に聞く

 −避難所や仮設住宅との支援格差が大きい。
 「在宅被災者は自宅が残ったため後回しにされた。聞き取りでは、震災後1月間、流れ着いた食品を食べていたケースもある」

 −住宅再建を妨げる要因は何か。
 「不十分な自宅修繕支援制度だ。石巻市の場合、市と国を合わせた支援金は約250万円。実際の修繕には最低500万円かかる。1戸当たり800万円の仮設住宅費用と比べてもバランスを欠く。『個人の資産形成に公費は投入できない』という考え方がネックになっている」
 「住宅修繕支援制度を利用すると、仮設住宅や災害公営住宅には入れない。それなりの理由はあるが、時間の経過とともに被災者の状況は変わる。資金不足で自宅の修繕が完了せず、別の制度を利用したいという人もいるはずだ」

 −災害公営住宅入居を待ち続けている人もいる。
 「そうした人へのケアは、応急修理制度(震災では上限52万円)ぐらいしかない。他の制度を利用すると災害公営住宅入居の足かせになるとして劣悪な環境の家に住んでいる。1、2年なら我慢できても、5年もそのままはひどい」

 −高齢者が多く、生活困窮者の割合も高い。
 「一般的に自宅があると生活保護を受給できない。間違いではないが、資産価値のない被災家屋は特例で認められるはずだ。市町村は丁寧に説明してほしい」
 「時間がたてばたつほど問題は深刻化する。被災者一人一人の現状をきめ細かく把握し、既存制度を利用できるかどうか検討してほしい。同時に在宅被災者向けの新たな支援が必要だ」


2016年05月18日水曜日


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