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<適少社会>交流人口拡大へ資源活用

宮城県松島町が観光ブランドの再構築を図る「特別名勝・松島」
地方創生加速化交付金の交付対象事業

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故で被災した岩手、宮城、福島3県の市町村は、一気に進んだ人口減少を踏まえ、「地方創生」事業を展開する。復興後を見据えた地域づくりをどう進めるか。地方の知恵が問われる。

◎25市町に加速化交付金/横断型事業に知恵絞る地方

 国は3月下旬、岩手、宮城、福島3県沿岸と東京電力福島第1原発事故の被災市町村のうち25市町に、地方創生加速化交付金の交付を決めた=表=。各市町村は地元の社会資源を生かしながら交流人口の拡大、新産業創出につなげようと懸命だ。
 久慈市は観光と健康増進を合わせた「ヘルスツーリズム」の推進事業を行う。市内を訪れる修学旅行向けだった沢登り体験などを一般観光客向けに実施する。新たな健康食メニューの開発やマラソン大会の開催にも交付金を活用する。
 宮城県松島町は、東北有数の観光スポット「特別名勝・松島」のブランド再構築を図る。観光客の経済波及効果を数値化し、町全体の振興に生かす。町は「松島の価値をさらに高めることが、活性化につながる」と説明する。
 各自治体とも各分野にまたがる横断型の事業に力を入れる。
 岩手県岩泉町は首都圏向けに町内の観光、農林産品のアピールを強化する。盛んな酪農に磨きを掛け、新商品作りに結びつける。町の担当者は「町全体の付加価値を高め、民間事業者に力をつけてもらいたい」と話す。
 宮城県利府町は、JR利府駅前にワーキングスペースを設ける。若いデザイナーやカメラマンを集めて人材育成を図る。県総合運動公園グランディ21で公演するアーティストとの連携イベントも想定する。
 いわき市は、市内に集積するバッテリー関連産業に注目する。バッテリーを使った新商品開発、電気自動車(EV)の学習用組み立てキットを使った人材育成、自動車関連企業を集めた商談会などを計画する。
 市担当者は「震災後に集積が進んだ産業をさらに伸ばしたい」としている。
 国は2016年度当初予算に、新たに「地方創生推進交付金」1000億円を計上した。単年度の事業が中心だった加速化交付金に対し、推進交付金は「3〜5年かけ、腰を据えて取り組むプロジェクト」(内閣府地方創生推進事務局)に交付するという。
 推進交付金は、各自治体が「地域再生計画」を策定した上で、新たな交付対象事業を申請する。

<地方創生加速化交付金>国が2015年度補正予算に1000億円を計上。3月下旬に47都道府県と1389市区町村に計906億円の配分を決定した。各自治体がまとめた人口減少対策「地方版総合戦略」に盛り込まれ、国が先駆性を認めた事業が配分対象となった。残り94億円は今後、追加配分する予定。


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2016年05月18日水曜日


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